Aoyama
Aoyama

噺の枕:Collage

目次

イタリア全域

全域

面積と生産量

■イタリアの総面積①(日本の面積の約②%)、イタリアの人口③(日本の人口の約④%)、それれぞれを数値で。①30万平方km ②80% ③6000万人 ④50%

■イタリア半島における、山岳地帯①と丘陵地帯②と平野部③の割合を数値で。①山岳地帯35% ②丘陵地帯42% ③平野部23% ※山岳-丘陵地帯が3/4を占め、平野部は1/4程度しかない。※ほぼ日本と同じ割合

■2020年度におけるワイン用ブドウ栽培面積①とワインの生産量②をそれぞれ数値で。 ①65万ヘクタール ②5000万ヘクトリットル(2022年)※65億本  ※日本2,400ha(1/270)から1,600万ℓ(2,000万本)

トピックス

■今で言う「イタリア」ができたのは1861年、日本だとペリーが黒船で来航1853年、大政奉還(1873年)江戸時代の終結、今からわずか160年くらい前。それまではいくつもの国が乱立していた。→独立した多品種

■紀元前8世紀頃、ギリシャ人が南イタリアに持ちこんだ代表的な品種、Greco  GrecanicoAglianicoはどれも「ギリシャ」を意味している。

■フィロキセラによる壊滅的な被害から多くの畑が見捨てられ、固有品種や土地の伝統が失われた期間を年号で。①1900年〜1960年頃

■イタリアと日本の緯度に関して、水の都ヴェネツィア、人口が2番目に多い大都市ミラノ(2026年冬期五輪開催)がともに北緯45°、日本でいうところの稚内(北海道の最北端)と同緯度。夏のバカンス地のイメージの強いナポリ(北緯40°)は日本の青森県-津軽海峡。 →イタリアの主要都市はほぼ北海道に入ってしまう。→イタリアは温かい  ※東京(北緯36°)と同じ緯度となるイタリアの地名はランペデューサ島(イタリア最南端の島、マルタ島の西、トラパニの南 ※イタリアの主要都市はほぼ北海道

ブドウ栽培の起源

■イタリアで「現在につながるような」醸造技術でのワイン造りが伝わったのは紀元前8世紀ギリシャから。 紀元前8世紀、ギリシャの都市アテネが覇権をもっていた。

古代ローマ時代

古代ローマの建国は紀元前753年とされていますから、395年に東西2つに国が分かれローマを首都とした西ローマ帝国が滅亡した476年まで約1200年、また、もう一つの首都コンスタンティノープルが陥落して東ローマが滅亡したのが1453年ですから、これまでを数えると約2200年続いたことになります。2012/03/29

イタリア統一

■イタリアワインの最大の特徴を「多様性」とする根拠を簡潔に(2)。①地形や気候が多様 ②1861年(約160年前)まで統一国家でなかったため、土地土地の人々のワインに対する感受性が多様

イタリアワインの歴史

■2000年以上前からワインの生産は行われているが、第一次世界大戦、第二次世界大戦時に多くの畑が耕作放棄となった。第二次世界大戦後から1960年代までは安価な大量生産のワインを中心に生産。イタリア政府がワインに関するルールを広布したのが1960年代。1970年代に入ってやっと「本格的」なワイン造りが行われ始めたとすると、その歴史はせいぜい50年程度の歴史となる。

ランキング

■面積の大きい順/①Sicilia ②Piemonte ③Sardegna ④Lombardia ⑤Toscana

■人口の多い順/①Lombardia ②Lazio ③Campania ④Veneto ⑤Sicilia

■生産量の多い順/①Veneto ②Puglia ③Emilia-Romagna ④Sicilia ⑤Abruzzo

■DOCGの多い順/①Piemonte(17) ②Veneto(14) ③Toscana(11) ④Marche(5)  ⑤Lombardia(5)

■DOCの多い順/①Piemonte(42) ②Toscana(40) ③Puglia(28) ④Lazio(26) ⑤Veneto(25)

■DOPの多い順/①Piemonte(59) ②Toscana(51) ③Veneto(39) ④Puglia(32) ⑤Lazio(29)

固有品種

■イタリアワインの歴史は紀元前2000年に遡る。

■世界の色々な地域でワイン用に使われているメジャーな品種、いわゆる国際品種は約50種。それに対してイタリアの土着品種、イタリアのみで栽培されている品種は、政府公認の品種だけでも約350種ある。

■日本で出版されている最もオフィシャルな本でも、知っておくべき品種として136種が掲載されている。

■土着品種が多い理由。ひとつは、イタリアは北から南、どこでもワインの栽培ができる気候だったこと、もうひとつは、イタリアの統一は1861年、それまではイタリアという国はなかった。イタリア愛というよりは地元愛が中心で、その地域の農家が自分の土地に育った品種だけをしっかりと育てて、地域の人々で消費してきた。

■良く言えば多様性があるとも言える。が、飲む側にしては選択肢が多すぎて何を選んで良いか分からなくなるのが難点。

近年の国際的なトレンド

■「以前は…、明らかに国際的なトレンドであるエレガントでフードフレンドリーなタイプに変貌を遂げている」「スタイリッシュで都会的」

地質学

■「最初に言っておけば、アルプス山脈が隆起し始めるのが今から大体5千万年前。アペニン山脈が隆起し始めるのが今から大体3千万年前だ。(ただし、その頃アペニン山脈は今の位置にはなかった。)イタリアが大体今のような地形と形で海から隆起したのは今から1千万年前頃といわれる」

■「コルシカーサルデニア島は、古生代末期(約2億5万年前)の衝突型の構造場で、3回の深成活動によって形成された(海から隆起した)」「衝突型の環境でマグマ活動が生じた。花崗岩質マグマは、その熱により大陸地殻のグレイワッケが溶けることにより生成された」(地質科学総合センター)

■「なお、ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の接近は現在でも進行中。年に3cmのスピードらしい。これによって地中海は縮小する傾向にある。またこの二つの大陸塊の接近に伴って時折地震が発生する。地学的未来の時間において、ヨーロッパとアフリカは再び合体し、地中海はいくつかの塩の湖になってとりあえず消滅する、というのが地学者達の一致した見方だ」

気候区分

大陸性気候と地中海性気候

■大陸性気候・・・大陸性気候は一日の気温差が大きく、また年間の気温差も大きいです。夏は暑く、冬は寒く、はっきりとした四季があります。晴天率が高く、湿度が低いのでからっとしたドライな気候。秋になると急激に気温が下がるので、晩熟の品種には向かないようです。それから、ヴィンテージによる個性が出やすいとも言われる気候です」 ※Lombardia(全般)、Trentino、Piemonte(温帯-亜寒帯の大陸性気候)

■アルプス気候・・・標高が高いため基本的には冷涼で、一日の気温差が大きい気候です。温帯地方の2000m超の場所の気候を指します。夏は短く、冬は寒さが厳しい。山の斜面を利用したぶどう栽培はたくさん日照量が確保できます。農作業するにも大変な地域の気候。※Valle d’Aosta、Lombardia(北部)、Trentino-Alto Adige(北部)

■地中海性気候・・・年間を通して温暖で、夏はより乾燥してカラッとしています。日射量が多く安定しており、冬は降水量が少し増えます。ぶどうの成育期間中は雨が少ないので、病害のリスクが少ないのも良いところです。※沿岸全域、Lombardia(湖周辺)

■海洋性気候・・・海からくる温暖な風の影響により気温差が少なく、比較的湿度が高い気候です。秋は長く穏やかで、ぶどうが十分に成熟するのを待って収穫ができるので、晩熟型のぶどう品種に適しています。年によっては収穫時期に雨やひょうに見舞われることがある。

土壌の個性

■このワインはこの土壌・地質だから、○○」という話をよく耳にしますが、実際は、地質がワインの味わいに与える影響を、科学的に実証されるまでにはいたっていません。

■ワインにおけるミネラル(分量100gあたり):ナトリウム 4mg カリウム 60mg 鉄 0.4mg マグネシウム 7mg ※酸化防止剤:亜硫酸塩=亜硫酸ナトリウム(二酸化硫黄を含む)

■「これらのような栄養素を保持することができる容量を示す指標のことを陽イオン交換容量(Cation Exchange Capacity 略してCEC)と呼びます。CECが大きい土壌ほど肥沃な土壌になる傾向があります。一般的に粘土の含有量が多ければ、CECも大きくなる可能性が高いです。ただし当然欠乏は避けなくてはなりませんが、高品質なワインを作るためには収量を制限する必要があり、肥沃であれば良いというわけでもありません」

■地盤を構成するのは土と岩です。土と岩がどの程度混ざり合っているのか、またその粒度がどの位なのかにより細かく分けることが可能です。地盤の土質は大きく分けると2種類に分類されます。粘性土(粘土質)と砂質土です。粒子径が75㎛以下で、さらに土粒子が50%以上含まれる土質を「粘性土」といいます。
粘土質ともいわれています。土や岩の粒子径が2.0㎜以下で、さらに粗粒分を50%以上含む土質を「砂質土」といいます。

石灰質土壌

粘土質土壌

砂質土壌

■「(バルベーラ・ダスティ)フルボディとはなりにくい砂質土壌が多いため、酸味が強く細身、単調で魅力に乏しいとされていた」「砂質土壌を想起させる繊細で優しい口当たり」

■「(ロエロ)砂質土壌ではフルボディのワインとはならない一方、アロマ豊かなワインに、また石灰質土壌はニュアンスに富んだミネラルをもたらす」

火山性土壌

■火山灰が堆積してできた土壌。保水に優れる。凝灰岩が中心。※Basilicata州Vulture/溶岩が細かくなった土壌。

■産地・・Alto Adije -Terlano (石灰質+火山性)、Soave

ガレストロ土壌

花崗岩土壌

■「花崗岩土壌は、深成岩(火成岩の一種で、マグマが地下深くでゆっくり冷えて固まったもの)が含まれる土壌である。主成分は長石で、これにはブドウの樹の主な栄養分とされるカリウムが含まれており、ワインの風味に間接的に影響を与える」

■「花崗岩土壌はあまり肥沃ではなく、砂質で水捌けが良いため、ブドウ栽培に適している。例えば ボージョレ地方 において、管理を怠ると大量収穫につながり、ワインの品質低下を招くような樹勢の強いガメイは、花崗岩土壌のような栄養分が少ない土壌で栽培されることで樹勢の抑制を期待できることになる。また、斜面の急な地形の場合は土中の水分が地中深くにしみこむため、結果として根が深く伸び、高級ワインの生産に向く」

■Sardegna州のVermentino di Gallura

泥灰土 =マール

■粘土質物質と石灰の混合物 (片岩) ※Galestro 参照

■「泥灰土とは、粘土質物質石灰もしくは炭酸カルシウムの混合物で、マールとも言う。石灰分の比率が増加すると粘土質石灰岩となり、減少すると石灰質粘土となる。

■泥灰土は総称。※Brunello ①北部/粘土質石灰岩を多く含む土壌=Galestro土壌 、②南部/石灰質粘土を多く含む土壌=粘土質土壌

■※マールは1800年代にニュージャージー州中部で土壌改良用途に広く採掘された。酸性土壌の中和、保水性の改善目的で畑に使用される。

凝灰岩

■凝灰岩=火山灰が堆積してできたもの。「凝灰岩は、火山から噴出された火山灰が地上や水中に堆積してできた岩石。 典型的な凝灰岩は数mm以下の細かい火山灰が固まったもので、白色・灰色から暗緑色・暗青色・赤色までさまざまな色がある」 

片岩 =シスト

■※片岩(ヘンガン)/片岩は変成岩の一種。シスト(schist)ともいう。 片岩は、主成分鉱物や特徴的な鉱物の名前をつけて、たとえば黒雲母片岩というように命名される。※片岩は様々なタイプの変性岩の総称 ※片岩>泥灰土>粘土性石灰岩(ガレストロ)

氷堆石土壌=モレーン

■岩が削られてできた小さな石や砂が混じった、栄養分が極端に少ない土壌。

■数万年前、大量の雪が積もって圧縮されて氷河ができ、その氷の塊が山や谷の岩壁にぶつかり、そして削りとられた小石や砂が氷河の底に堆積してできた土壌。※水はけがよくミネラル分が豊富でワイン造りには適した土壌

■Franciacorta、Lugana DOC

砂岩

■砂岩(Sandstone)は堆積岩に分類される天然石で、主に堆積した砂の成分が長い年月をかけて固まり岩石になったものです。 堆積岩にはその他に石灰岩(Limestone)や凝灰岩(tuff)などがあり、主に堆積している成分で種別が分かれています。※Friuli のポンカ土壌は泥灰土と砂岩が混ざった土壌

樽育成と効果

大樽とバリック

■大樽=スラヴォニア産、バリック=フランス産。

■「樽のフレーヴァーの干渉の少ないスラヴォニア産の大樽で熟成」

■大樽の代表的なサイズは、20HL、55HL、110HL。ブルーノジャコーザの伝統的な大樽熟成は、55HLと110HLの大樽を使用。ブルーノ・ロッカのバリックは、風雨に40ヶ月されしてタンニンや香りを落として使用、酸化のみが目的。

■「ピエモンテで広く使われていたのはスラヴォニアンオークとフレンチオーク、そしてオーストリアンオークです。 オーストリアンオークは非常にコンパクトで木目が密に詰まっており最も酸素を通しにくいとのこと。 一方のスラヴォニアンオークは木の目が荒く、最も酸素を通しやすいそうで、フレンチオークがその中間にあたるそうです」

■特にセシル・オーク(ケルカス・ペトラエア)はキメが細かく風味成分も豊富であることから高い評価を受けており、トロンセ、ヌヴェール、アリエ、ヴォージュといったフランスを代表するほとんどの森林に分布しています。

フランスの中でリムーザンの森にはペドンキュラータ・オーク(ケルカス・ロブール)だけが自生しています。リムーザンの森で育ったケルカス・ロブール種はキメが粗く風味成分が少なく、主にコニャックの熟成に用いられています。
「スラヴォニアン・オーク」として有名な、クロアチア東部のスラヴォニア産のオークもケルカス・ロブール種です。

■アンフォラ…「樹齢80年を超えるテロルデゴは信じられないパワーを持っている。だから酸素との接触が多いアンフォラではなく、大樽で時間をかけてゆっくりと熟成させることがベスト。」

セメントタンク

■「熟成はセメントタンクで行います。赤ワインに関してはセメントタンクの使用がメインとなります。その利点としては、安定して醸造が出来る事、(ステンレスタンクに比べ)ほんの少しですが空気のやり取りが行われる事です。ワインにとって好ましいレベルの酸化が促されます」(Castello Di Gabiano)

アンフォラ

■原料は土、素焼きの鉢と同じ原理。保温性、焼成温度による酸素透過量の調整。

仕立て

■アルベレッロ仕立て…現存する貴重な仕立て。1本1本独立した古い仕立て、職人による上下左右360度のケアが必要で、コスト面と職人の老齢化で姿を消しつつある仕立て。

オーク樽

■基本は225ℓのオーク(楢)。

北イタリア

ヴァッレ・ダオスタ州

プロフィール・ランキング

★Valle d’Aostaに接しているアルプス山脈の著名な山をカタカナで(4)。①モンブラン(4800m) ②マッターホルン(4478m) ③モンテ・ローザ(4634m) ④グラン・パラディーゾ(4000m)

■Valle d’Aostaの土地面積①、人口②、ワインの生産量③の州別ランキング。①20位 ②20位 ③20位 ※Valle d’Aostaの人口は13万人、鎌倉市は17万人

■Valle d’Aostaのブドウ畑の特徴を簡潔に(4)。①川の両岸の傾斜に段々畑 ②石塀(イシベイ)が畑を取り囲む(段々用) ③畑に石柱(保熱効果) ④独特な棚式栽培

ブラン・ド・モルジェ・エ・ド・ラ・サル

■「今は亡きルイジ・ヴェロネッリにして『イタリアのワイン文化で最も無くなって欲しくないワイン』と言わしめたワイン」

■「ピエモンテから国道を走り、アオスタの主要な産地を通り抜けて最後に辿り着くのがモルジェ。モンブランを望む断崖絶壁に位置する畑は最も高い標高で何と1,200mヨーロッパで最も標高の高い葡萄畑ということになる。厳しい自然環境に耐える品種は限られるし、1年を通じて極端に気温が上ることが無い。しかし、直接の日光だけでなく、残雪で白いモンブランに反射した日射も葡萄育成に重要な影響を与える。まさにモンブランが育てたワインと言える。」「ブドウ栽培の限界高度は標高600mと言われる」「反射した日差しで気温が30度まであがる」

■「モルジェ村(冷涼な気候で酸度の高いブドウ)とラ・サル村(平地で温暖、ブドウはよく完熟して糖度が上がる)、この個性の異なる2つの産地のブドウを最終的にブレンドし、バランスをとって仕上げるのが伝統的手法」

■「プリエ・ブラン。高地に適応する土着品種で、少ない日照量でも収穫ができ、完熟までの期間が短いので寒波がくる前に収穫できる」

■「山の雪が日光を反射してブドウの樹を温め、春には雪解け水が土壌に水分を与える」

レ・クレーテ

■「赤・白共に共通して山のミネラルと高地の酸、寒暖差からの複雑味を持ち合わせている。葡萄の熟度が上ってくる秋口には夜は氷点下、日中はモンブランの山に反射する太陽熱で30度近くまで気温が上ることもある。土壌はこの地方独特の氷堆土が主体でありながら石灰岩、砂質が混じり、地中には岩盤が通っている。標高は最も低い畑で600m。最も高い畑は1,000mを越す」

ピエモンテ州

プロフィールランキング

★ピエモンテは直訳すると「山の麓」の意。北側、西側、南側を山に囲まれている。

★2014年にピエモンテのブドウ畑の景観が世界文化遺産に登録された。

★料理関係だと、トリュフやチョコレート、バーニャカウダとかグリッシーニが有名。

★変わったなお祭りが有名。アルバの国際白トリュフ祭り、トリノのチョコレート祭り、イヴレア(カナヴェーゼ地方)という街では伝統衣装を着て超本気でミカンをぶつけ合う過酷なお祭りが有名。

★自動車メーカーのフィアットやCMでたまにみる付録付き雑誌デアゴスティーニはピエモンテの会社。

★フィギアスケートの荒川静香さんが金メダルをとったのが、2006年にピエモンテ州のトリノで行われた冬季オリンピック。

■サッカーだとセリエAのユヴェントスはピエモンテ州のチーム。

■スローフード運動発祥の地。もともとは1980年代のマクドナルドに代表されるファストフードから、その土地の伝統的な食文化を守るために発足した運動。現在は世界160ヶ国以上に広まっている。『おいしい(good)、きれい(clean/環境保護)、正しい(fair/労働者の権利)』がスローガン。

ドルチェット

■「一般的には色濃く醸され、果実味豊かで酸味は穏やかで飲みやすいが、タンニンがやや粗く余韻が短いのが欠点である。

バルベーラ

■「イタリア語のブドウ品種はほとんどが男性名詞ですが、バルベラは女性系の“ラ・バルベーラ”と呼ばれる珍しい存在」「バルベーラの名前の由来にはいくつかの説がありますがが、最も有力な説は、その黒く濃い色からバルバロ(barbaro/野蛮人)という言葉に由来するというものです」

■「この品種の特徴は、深く濃いルビー色、おだやかなタンニン、赤や黒のチェリーや果実味、ほのかな下草の香りです。そして何よりも、豊富な酸が“食事を呼ぶワイン”と言われるバルベーラの真骨頂です」

■「果皮の色素が強くて種が小さいです。育てやすい品種で、気候を選ばず栄養が少ない土壌でもよく育つという特徴があります」

■「バルベーラは製造方法により、味わいが異なってきます。ステンレスタンクで熟成させると、サワーチェリーなどの赤い果実、甘草、ハーブなどの香りにピリッとするスパイシーさが加わります。オーク樽で熟成させると酸味が和らぎ、凝縮された果実味とチョコレートのアロマを感じる、深みのある味わいになります」

■「収量が過剰だと果実の質が下がってバルベーラ本来の酸味と尖った感じが際立ってしまう」「近年では、試験的にバルベーラの収穫を遅らせて糖度を上げ、より重口で果実味を前面に出したワインを作ろうとする生産者もいる」

■「オークからは木材由来のタンニンがワインに移り、ブドウのフェノール化合物由来のタンニンほど強い渋味を増すことなく、ワインに骨格を与える。この手法は、マセラシオン(浸漬時間) の短縮と合わせて、よりまろやかなワインの醸造に貢献した。収量を少なくしたり、もっと完熟させて果実味と糖度を高めたりすることも、バルベーラの強い酸味とのバランスを改善することが分かっている」

■「バルベーラもネッビオーロと同じような環境を好むが、ネッビオーロのほうが収益性が高い (2倍近く) ため、最良の区画では後者が栽培されている。バルベーラのほうが成熟期が早いため、ネッビオーロよりも標高が低く気温も低めの斜面など、2番手以降の区画で栽培される」

■「アスティ県内で最も温暖な地区であるニッツァは、このブドウの強い酸味に釣り合うくらいの糖度をもった完熟度の最も高いバルベーラを生み出せるだけの力がある」

■ 「新しいスタイルのパイオニアとして、ピエモンテのジャコモ・ボローニャ(ブライダの創業者)が挙げられる。“Bricco dell’Uccellone”というワインに木樽(バリック)での熟成を取り入れ、バルベーラの醸造方法の概念を一変させたのである」

■「バルベーラ(Barbera)はピエモンテ州原産と言われています。現在ではアメリカを始めとして国外でも最も多く栽培されているイタリア土着品種の一つです。ピエモンテでは作付面積の半分程を占めており、収穫量が多く、比較的安価なワインとなるため、地元でも人気のワインです」「ブドウ品種は基本的に男性形のイタリア語で呼ばれますが、バルベーラだけは女性形。親しみやすい特徴から“ラ・バルベーラ”と呼ばれ、地元ピエモンテでは非常に愛されています」

ロエロ

■「地名は14世紀に遡り、当時この地を統治していたロエロ伯爵家に由来しています」「ロエロの土壌の歴史は紀元前1000年に遡ります。紀元前1000年には土地として形成されていたことが確認されていますが、かつては完全に海に覆われていました。これがこの地の土壌をより砂質に、より石灰質にしている証しで、実際ブドウ畑では2mも掘り返すと今でも当時の化石や貝殻を見つけることができます。出来上がるワインは上質のミネラル感が溢れています」

■「バローロDOCG生産エリアから北を流れるタナロ川を越え、ロエロDOCG生産エリアに入ると畑の様相は一変する。太古の昔は海であった地域で、砂質と石灰質の白い土壌となり、また砂質土壌は脆く、風化による侵食で丘陵は削られ急斜面の畑となる。砂質土壌ではフルボディのワインとはならない一方、アロマ豊かなワインに、また石灰質土壌はニュアンスに富んだミネラルをもたらす。

ゲンメ

■「ゲンメの土壌はモレーン。氷河が谷を削り取って堆積した土壌でガッティナーラの火山岩ともランゲの粘土石灰質とも違う 。ネッビオーロは気候 、 土壌の個性をワインの味わいに反映させることができる数少ない高貴品種 。ランゲ、ガッティナーラ、ゲンメは全く違う個性 。温暖でアルカリ性の粘土石灰で元々海底だった ランゲのネッビオーロは力強く重厚で大きなワイン に仕上がる 。冷涼で マグマに由来する 火山岩土壌のガッティナーラは少ない果実感。 ミネラルが豊富で酸度も高く、熟成ポテンシャルが 非常に高い。
モレーンは花崗岩が主で削り取られた岩石、岩屑や土砂などが堆積した土壌。酸性寄りで 、酸は柔らかく果実味もありタンニンの質が細かい。海に由来する土壌のランゲ。火山に由来する土壌のガッティナーラ。そして氷河の堆積物に由来する土壌のゲンメ」
「ランゲは海底が隆起した土地だがゲンメはアフリカプレートとアルプス山脈がぶつかった場所なので山に由来する」。

ネッビオーロ

■栽培するのがとても難しい品種。成長が遅すぎて収穫時期が気温の低い時期になる。にもかかわらず寒さに弱く、さらに湿気と病気にも弱い。そもそも樹そのものが弱っちい。

■ピエモンテ州のごく一部の地域の日差しのよい一等地でしか育たない。ピエモンテの総生産量のわずか5%。イタリアワインの中でもっとも気難しくデリケートな品種。

■赤ワインらしい真っ赤な色素が出にくく、色素を出そうとすると今度は酸味と渋みが強くて飲みにくいワインができあがる。それを3年間樽でゆっくり寝かせて(酸と渋みを和らげる、一体感がでてくる)、やっとその魅力が顔をだしてくる。スミレやバラの花、枯れ葉、トリュフ、革製品、タバコみたいなブドウが原料とは思えない不思議な香り。瓶でさらに熟成させていくことで、より複雑に、mた優しい口当たりになっていく。

■ネッビオーロは気候 、 土壌の個性をワインの味わいに反映させることができる数少ない高貴品種 。海に由来する土壌の「ランゲ」。火山に由来する土壌の「ガッティナーラ」。そして氷河の堆積物に由来する土壌の「ゲンメ」。

バローロの生産地域と村

■「バローロの生産地域の村のうち、際立った特徴のある行政区画は2つ。北西に位置するラ・モッラ村は石灰、砂、泥灰土の青白い土壌で、タナロ川に近く温暖、優しくエレガントなバローロとなる。一方、南東のセッラルンガ・ダルバ村は酸化鉄を含む赤土の粘土、礫岩や石を含む土壌で、気候は冷涼、男性的で長期熟成型のバローロとなる」

バローロ・ボーイズ (モダン・バローロ)

■1980年代、酒商マルク・デ・グラッツィアによる栽培や醸造に関するコンサルタントを受けた新進気鋭の生産者たちのワインはアメリア市場で大成功を収め、「バローロ・ボーイズ」と呼ばれ一世を風靡した。ドメニコ・クレリコ、エリオ・アルターレ、パオロ・スカヴィーノ、マッテオ・コレッジア、カヴィオラ、スピネッタ、ロベルト・ヴォルエルィオ、ブライダ(バルベーラ)など。

■醸造に関する3つの改革。①グリーンハーヴェスト(残された房には栄養が行き渡り充実し、収穫を早く迎えることができるようになる)、②横置き回転式のロータリーファーメンテーション(果皮や種子が搾汁と触れる面積が増え、色素やタンニンが抽出しやすくなり、まや過度なタンニンの抽出を防ぐため、下部から種だけを排出できる)、③伝統的な大樽熟成(55HL)からフランス産バリック樽(225㍑)の新樽を使用(樽とワインの触れる面積が大きくなり、より樽の風味がワインに付与されるようになった)。※アメリカ市場の好むモダン・バローロ。

■「(ドメニコ・クレリコ)1970年代には大樽のみでワインを造っていましたが、バリックでの醸造を学ぶべく1981年にエリオ・アルターレとともにブルゴーニュを訪問し、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ コンティでの試飲では、新樽を使っているにも関わらずバレルサンプルですらオークの味がしなかったことに衝撃を受け、ブルゴーニュから帰るとすぐに樽の研究に没頭します」

伝統的バローロ

■ブルーノ・ジャコーザ、ピオ・チェーザレ、プルノット、

バローロとクリュ(単一畑)

■「(ピオ・チェザーレ)クリュ・バローロについて、彼に言わせれば限られた独自の個性をもった1枚の畑から造られるため、その個性がバローロという産地の味わいよりも前に出るので、モダンバローロ(現代的なバローロ)と表現していた。伝統的なバローロとは、バローロの生産エリア11村の複数の畑や区画を細心の注意を払ってブレンド、毎年、その匠の技で安定して卓越した品質のバローロを造るのが本来の姿であり、氏名である」※モルトウイスキーとブレンデッドウイスキー

バルバレスコ

■ネイヴェ村の大部分、トレイーゾ村、アルバ村の土壌は、灰色の泥灰土が特徴のトルトニアーノ・セッラヴァッリアーノ土壌で、しっかりとした骨格を感じさせるワインになる。

■バルバレスコ村とネイヴェ村の一部の土壌は、青みがかった石灰質の泥灰土が特徴のトルトニアーノ土壌で、エレガントで気品を感じさせるワインになる。アジリ、マルティネンガ、ラバヤ。

バローロと樽

■長期間のマセラシオンと大樽熟成を経た強靭なタンニンを持つ長期熟成型の伝統派と、短期間のマセラシオンと小樽熟成で早くから飲めるモダン派。バローロを語る上では、この伝統派vsモダン派の議論がしばしば取り上げられますが、近年では両者の手法をミックスした折衷型で造る生産者が多いのが実情です。

■バローロ、バルバレスコにおいて各生産者によって様々なスタイルがあり、こだわりが現れているのが熟成樽です。

バローロ、バルバレスコで熟成に樽を用いるのは樽香を与えるためではなく、ネッビオーロの厳しいタンニンを和らげるためであると一般的には言われています。そのため、サイズに関しては、樽の影響が少ない大樽を使うのが伝統になっています。それに加え、収穫量や生産量によって、225リットルのバリックや500リットルのトノーを使い分けている生産者も多数でした。また樽の影響を少なくするためトーストしない生産者が多いのも特徴です。

また樽材の原産国によっても酸素の供給量は異なります。ピエモンテで広く使われていたのはスラヴォニアンオークとフレンチオーク、そしてオーストリアンオークです。

オーストリアンオークは非常にコンパクトで木目が密に詰まっており最も酸素を通しにくいとのこと。一方のスラヴォニアンオークは木の目が荒く、最も酸素を通しやすいそうで、フレンチオークがその中間にあたるそうです。

カヴァロットやエルヴィオ・コーニョはスラヴォニアンオークを、ブルロットはフレンチオークを使用。ブルーノ・ジャコーザやガヤ、ロヴェルト・ヴォエルツィオなどの造り手は異なる産地の樽材をキュヴェやヴィンテージによって使い分けるように、各生産者は自身の造るワインに最適な樽を選択しているようです。

■大樽のメリット・・・「ドイツで使われる大きな樽です。大きな樽の方が樽からの影響は少なくなるのでしたよね。ワインの繊細な味わいを損ねないようにする狙いがあります。
大きな樽でゆっくりと酸素に触れさせて酸味をまろやかにしたり、天然酵母の働きを促して味わいを複雑にしたりする働きがあります」

ガヴィ

■初代イタリア王国首相となるカミッロ・カヴールが招聘したフランスのシャンパーニュ出身の醸造家ルイ・ウダールが、バローロの辛口への改良に併せてガヴィ村のコルテーゼ種を用いてスパークリングワインを醸造し、1860年にはドイツ、スイス、南アメリカへと輸出さした。

■ガヴィのワインの産地としての歴史は古く、ジェノヴァにある州立公文書館収蔵の「972年の借地契約に関する文書」にはガヴィ村の「ラ・メイラーナ農園」の記述がある。

■ガヴィDOCGの生産エリアに認定されている11の村の中でもガヴィ村は別格で50軒の生産者が居を構える。メイラーナ農園(ガヴィ村)。Gavi del Comune di Gavi。

アルネイス

■食用にも甘口にもなる品種で、昔はNebbioloにブレンドしてそのタンニンを和らげることもあった品種を原語で。

ガビアーノ

■「北イタリア屈指の銘醸地ピエモンテでも、とりわけ歴史が長く、イタリアでも最古、最小DOC区域のひとつとして知られるガビアーノ。ポー川の畔、アスティ県とアレッサンドリア県にまたがり、13世紀の文献にもその名が見られるほど、古くから優秀なワイン生産地として知られるこの丘陵地帯にそびえ立つ古城カステッロ ディ ガビアーノ(ガビアーノ城)の中で優美なワインの数々は醸されます」

リグーリア州

プロフィールランキング

★代表的な都市はジェノヴァ。イタリア第1の港町。

★山岳地帯が65%、丘陵地帯が35%、平地0%。

★海岸沿いは温暖な地中海性気候。夏季にはヴァカンス客で人口が3倍に膨れ上がる。

★ワインは生産量が少なく、地元住民とこの地を訪れる大量の観光客により消費されてしまい、州外で手に入れるのは容易ではない。

■海岸線(リヴィエラ海岸)に沿い、街や広場に花が溢れていて、花の市場がそこかしこにあり、世界的に有名な花の展示会や祭りが開催されている。

■海沿いに小さな入江とヨットハーバーが並んでいて、気候も温暖で過ごしやすい。町並みも美しくて、欧米のリゾート客に人気の国際的な観光地。

■バジルソースやフォカッチャが有名。肉料理よりは魚介料理中心。北部にしては珍しくバターではなくオリーブオイルを使った料理が多い。

文献

■「イタリアの中でも、リグーリア州は小さい州であり、ブドウ畑も海に面している為、海風に当たりやすく、ちょっとした天候の悪戯でブドウ生産量が左右される。 その為リグーリア州のワインは、イタリアの中でも希少価値が高い。海に面したワイン生産では、ミネラル感の良し悪しがワイナリーの醸造の評価を決める。 良質ではないミネラル感は口の中で塩っぽい感覚になりやすいが、これは酸味やアルコールのバランスにも関わってくる」

■「…そのため、急な傾斜の狭い段々畑でブドウが栽培されているような、ワインの生産に困難を要する生産地です。そのため、生産量もあまり多くなく、この地で造られたほとんどのワインは、観光地でもある地元で消費され、輸出されるワインは極めて少ないというのが現状です」「…また、高い山々と海に挟まれた地形であるため、常に西から海風が吹き、ブドウが病害から守られています」

ピガート、ヴェルメンティーノ

■「…後味に塩分を感じることもあります。ピガートのワインはよりリッチでクリーミーになりますが、特徴的な塩味は残ります」「海洋性の塩味を含むミネラルを吸収しやすいブドウ品種のヴェルメンティーノだからこそ、海を感じさせる料理との相性は抜群です」「比類無き明るい青空の下、潮風と野生の花々の香りをいっぱい吸い込んで、リグーリアを代表する品種であるヴェルメンティーノ、ピガートは健全に成熟する」

■「ワイン生産者はピガートとヴェルメンティーノは似てはいるが異なる葡萄という見解に対して、ブドウを専門に扱っている人達の統一見解はピガートとヴェルメンティーノは同一の葡萄であると断定している」「しかしながら何年にもわたる研究の結果、学者たちは特定の結論に達していない。そのため、リグーリア州の多くのワイナリーは、同じ品種の可能性を持ちつつも、この2つの品種を別々のものとして栽培し、2つの異なる銘柄としてワインを生産している」。

ルナエ

■「Cantine Lunaeの名前の由来はラテン語の『Lunae(月)』に由来しています。古代ローマ時代、ラ・スペッツィアの近くに『Luna(イタリア語で月)』という名の町があり、湾に沿った町の形が月に似ていたため、この名前が付けられました。建物が大理石で造られており、夜になると月の光が大理石に反射して輝いて見え、それは美しい町だったそうです。しかし当時、北方の侵略者が南下してきた際に、Lunaのあまりの輝かしさと美しさにローマと間違えられ略奪にあい、滅びてしまいました」

DOC チンクエテッレ

■「チンクエ・テッレとはリグーリア州、ラ・スペツィアのリグーリア海岸沿いにある5つの村をさし、ポルトヴェーネレや小島群などと共にユネスコの世界遺産にも登録されています。標高は15m-600mと様々な高さにあり、最大斜度は45°にもなります。通常ヴィニフェラ種を栽培する地はphが中性~弱アルカリ性が良いとされていますが、チンクエ・テッレの畑のphは5.5と弱酸性の土壌です。しかしチンクエ・テッレの土着品種ボスコはこの土壌に非常に適し、他のテロワールで栽培すると青く苦味が出てしまいますが、チンクエ・テッレで栽培されたボスコは非常にアロマティックで蜂蜜のような甘みを持った葡萄となります」

■「…人々はその自然に立ち向かい、海岸沿いの急斜面の岩盤を砕き、石垣を築いた上にブドウ畑を造ったのですが、その土壌はなんと砕いた岩盤の砂でできていて、まさに 「一から畑を造った」 という言葉がふさわしく感じられます。こうして地道に築かれてきた石垣の総延長は、なんと6,700キロメートルに及び、何も無い所から数百年かけて、 中国の万里の長城よりも長い距離の畑 が造られたのでした」

■「チンクエ・テッレの村々は、11世紀に要塞都市として建設された。以後1000年にわたって、隣の村との往来は船で行われていた。陸路で孤立したこれらの村々には、今も往時の面影が色濃く残っている。平地がなく、土地も痩せているチンクエ・テッレで、人々は急斜面の固い岩盤を砕いて石垣を築き、岩盤を砕いた際に出た砂を土壌にして畑を作った。数百年かけて築かれてきた石垣の総延長は、6700 km に及び、これは日本列島を往復できる距離である」

■「この痩せた土地に根付いた作物がブドウである。人々はこのブドウからワインを醸造して生活を成り立たせた」「ここで育つブドウは、あまりたくさんの実をつけない。しかし、そのぶん味が凝縮したコクのあるワインが産まれた。それは古くからジェノヴァの商人によって、広く輸出されていた」「16世紀の古文書『ジェノヴァ年代記』(1537年)には「チンクエ・テッレは急斜面で不毛の土地ながら、人々が知恵を絞ってブドウを栽培し、ワインを作っている。多くの貴族、王子、王たちがそのワインをテーブルに置くことを大きな誇りにしている。」と記されている」

ロンバルディア州

全域

■イタリアで最も豊かな州。国民総生産の4分の1を生み出している。

■イタリアで最も人口が多い州で1,000万人近い。※東京/1,400万人、神奈川/900万人

ミラノ

■2026年冬期五輪のあるミラノ(北緯45°)は日本の稚内と同じ緯度。

■商業の中心地、ファッションの都、多くの外国人観光客が訪れる。古代ローマ時代に既にミラノは重要な都市として栄えていた。

■ブレーラ美術館/レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』。スカラ座/イタリア・オペラの殿堂

ヴァルテッリーナ渓谷

■「東西に広がるアルプス渓谷のひとつ、ヴァルッテリーナ渓谷でのブドウ栽培は日の出から日没まで一貫して太陽光を浴びることが出来る利点があります。反対にあまりにも急斜面のためトラクターなどの重機が入れず多くのマンパワーを必要とします。収穫の時にはヘリコプターも使うなどいかに過酷な作業かお分かりになると思います」

ルガーナ/トゥルビアーナ

■「その秘密は一流の観光地「ガルダ湖」にあります。夏のバカンスになるとドイツ人観光客で賑わいます」「ドイツ人観光客による大量消費に支えられており、輸出する必要がなかったからです」

オルトレポ・パヴェーゼ

■「オルトレポーDOCは、ミラノから南に約30分、長い歴史の中でフランスと縁のある土地です。そして古くからフランス由来の葡萄品種であるピノ・ネロやシャルドネが耕され、ミラノ人たちの食卓を潤わせ続けると同時に…」

フランチャコルタ

トレンティーノ・アルト・アディジェ

観光

■歴史的にいえば、中世からずっと揉め事が絶えなかった土地。オーストリア領だったりイタリア領だったり、半分半分だったりと、くるくる情勢が変わってきた土地。1970年代になってようやく決着していて、基本的にはイタリア領だけれど、イタリア政府もオーストリア政府も強く介入できない半独立地域。

■アルト・アディジェ地方は、もともとはオーストリア領で、第一次世界大戦後にイタリアに併合。しかしオーストリア系住民には受け入れがたく、頑固に自分たちの文化を守っている。

■オーストリア領だった頃の名残が強く、ドイツ語を話す人が主流。「ドイツ人以上にドイツ人っぽい」と言われる土地。

■ワインもドイツ系のアロマティックな品種の白ワインが有名。

■アルプスの麓、山岳が多い地方。アルプス特有の気候で、日当たりは凄く良いけれども、日中の寒暖差がすごい地域。

■年間300日が晴天。日照時間、降水量ともワイン造りに理想的な気候に恵まれる。

■標高200~1000mに連なるブドウ畑。イタリアのワイン生産量におけるシェアは1%未満ながら、標高差と複雑な土壌に合わせて栽培するブドウは約20種にわたる。

■アルト・アディジェで生産されるワインの7割は13の協同組合が造っていて、よいブドウができれば高く買うというシステムがあるところも他と違うところだと思います。ワインも清潔感があって、きれいな造りという印象がありますね。

■一つは雨が少なく日照量が多いこと。夏の昼はガルダ湖から暖かい風が運ばれ、盆地のように日中は35℃以上になることもあります。しかし夜はアルプスの冷たい空気で気温が下がる。その寒暖差が骨格のしっかりとしていながら、ふくよかさのあるワインが出来る要因ですね。

■アルト・アディジェは山のワインと言われますが、海底が隆起してできた土地なので、海の土壌なんですね。しかも大陸と大陸がぶつかった境目なので、標高やエリアによっていろんな土壌が入り組んでいる。地質の視点から飲んでも面白い産地なんです。

■19世紀の半ばには、フランスからシャルドネやソーヴィニヨン・ブランなどの外来種がすでに持ち込まれていたこともあり、世界レベルのワインが白で造れるのではないかと考えて、チャレンジしたのだと思います。


イサルコ

■アルト・アディジェD.O.Cのうちボルツァーノの北東、イサルコ川流域の渓谷でつくられるワインを指す。オーストリアとの国境からわずか20kmほどのところに位置する。

■渓谷を縫うように町があり、斜面に沿ってぶどう畑が広がっている。ぶどう栽培の限界に近い標高まで畑が展開されているのが特徴だ。日較差が激しく、主に夏季にはイタリアでも屈指の高温に見舞われる。こうした厳しい天候で育てられるぶどうは、酸味が強く熟度が高いものになる。

文献

■「同州はイタリア最北の州だが、北にそびえる山々がアルプス山脈からの寒さを妨ぎ、南部にあるガルダ湖から吹く暖かい風により、健全な葡萄を育む気候を持つ」「全世界でも希少なクールクライメット、豊富な日照、急斜面、石灰土壌」

気候・土壌

■トレンティーノのワイン生産量はイタリア全体の1%程度。生産量は少ないですが、その品質の高さで国内外に高い知名度を持ちます。南に位置するガルダ湖のエリアは温暖な地中海性気候、北側にそびえるドロミーティ山脈による大陸性気候。そして土壌はドロミアと呼ばれる石灰が多い土壌と、ポルフィーノという世界的にも珍しい火山性の石英斑岩土壌。この独特な気候条件と土壌が、フレッシュでミネラル豊かな高品質のワインを造り出すブドウを育むのです。

■「ロータリが位置するトレンティーノは独自の文化をもつイタリア北東部の地域。渓谷や湖や森、そして広大で美しいアルプス山脈に囲まれた自然豊かな環境です。標高の高い山々に囲まれたこの地域には地中海性気候からアルプス気候まで、様々なミクロクリマ(微気候)が存在しています昼夜間の気温差が激しく四季が明確に感じられるなど、非常に特殊な環境にあるといえます」

「トレンティーノ地域には、ブドウ栽培にとってまさに「恵み」というべき特別な風が吹きます。スイスとの国境であるアルプスは3000メートル級の山々が連なる山脈。午前中アルプス山脈によって冷やされた空気は風となり、アディジェ川沿いの傾斜の強い渓谷を吹き抜けます。するとそこにはトレンティーノ最大の「ガルダ湖」が位置しており、午後になると暖かくなった空気は再度風となり渓谷を吹き抜けるのです。その風による昼夜の寒暖差・乾燥した空気が健康的でスパークリングワインに適したブドウの栽培を可能にしています」

ゲヴュルツトラミネール

■ゲビュルツ(ドイツ語でスパイス)+トラミネール(トラミン村、テルメーノ村)の意味。

■スパイスの香り・・・カルダモン

ピノ・ネロ

■イタリア最高レベルのピノ・ネロが育つ理想的環境。アルトアディジェに19世紀頃に導入されたブドウ品種がピノ ネロです。この地は国際品種であるピノ ネロの理想的条件を備えていて、以後イタリア最高レベルのピノ ネロが栽培、醸造されています。

ラグレイン

■「…シラーと同じDNAで温暖な気候を好む。そのため標高の低い平地の寒暖差の少ないボルツァーノ市内、あるいは周辺の平地で植樹される」

ヴェネト州

観光

■シェイクスピアのロミオとジュリエットの舞台。※今でもジュリエットの家があって、壁に名前を書くと恋が成就するらしい。

■音楽の教科書にのっていたヴィヴァルディが生まれたところ。※協奏曲『四季』のなかの『春』が有名。

■世界的に有名な観光地、水の都ヴェネツィアが州都。

■イタリアでもトップクラスのワインの生産量を誇る地域。

■山あり海あり平地あり、ワインも非常にバラエティに富んだ地域。

ソアヴェ

■「ソアーヴェを理解する上で最も重要なことが1960年代の生産地域の拡大です。元々900ヘクタール以下であったソアーヴェ生産地域は、なんと8倍もの7000ヘクタールまで拡大されました。ジーニの畑が位置するのはソアーヴェ クラシコの中心部で拡大前の900ヘクタールの中に位置しています。元来のソアーヴェ生産地域は圧倒的に黒色火山岩が強く出ているエリアで、頂上部分に近づくほどに黒色火山岩比率が高まり、下部は石灰比率が増えていきます。一方1960年代以降に拡大された平野部の土壌は堆積土壌で赤く重たい粘土であり、火山岩は皆無に近い土壌です」「本来のソアーヴェは火山岩土壌からくる独特の鉱物感、ミネラル香が個性であり、アロマではなく鉱物のニュアンスが重要、果実感よりもミネラルが主体で、長く熟成する」と語ります。一方、平野部の肥沃な堆積土壌から生まれるソアーヴェはアロマティックで甘く、果実が主張するスタイルに。世間一般的に認識されている軽く、フルーティーなソアーヴェは60年代の産地拡大後に大量生産とトレビアーノ ディ ソアヴェの巧みなブレンドによって出現したものだったと言えます」

■Soave意味:快い、甘美な、柔らかな、優美な [人]温和な、温厚な [物]滑らかな

■世界で最も知られているイタリアの白ワインと言ったら「ソアーヴェ」でしょう。 生産地はヴェネト州ヴェローナの東側にあるソアーヴ城を中心とする広大なエリアで、13の市町村で造られています。この地域では古くからブドウ栽培が行われていて5~6世紀にこの地を支配していた東ゴート族がワインを造っていたと言われています。ソアーヴェはイタリア語で「口当たりが良い」という意味をもち、その名の通り飲み心地の良さから食中でも合わせやすく、日本でも大変人気があるワインの一つです。赤の「キャンティ」、白の「ソアーヴェ」と言われほど知名度が高いソアーヴェは、戦後すぐにアメリカに輸出されたことで、世界的な大ブレイクを果たしました。しかし、その人気にあやかろうとする生産者たちによって生産エリアが拡大し、1ヘクタールあたりの収量がどんどん増加し大量生産されるようになると、品質は崩壊していきました。現在でもソアーヴェは「軽くてシンプルなワイン」というイメージがありますが、適切な環境で丁寧に育てられたブドウからは、アーモンドやシェリーの香りをまとった複雑さと、良質な果実、生き生きとした酸、そしてミネラルのトーンを持つ高貴なソアーヴェとなります。

■しかし、ソアーヴェの丘陵地帯では、沖積土壌、石灰質土壌、玄武岩を含む火山性土壌、と様々です。 そのためそれぞれに異なった特徴を持つワインが生み出されていて、例えば石灰質土壌ではフローラルになり、火山性土壌ではグレープフルーツのような柑橘系の香りが現れます。

■現オーナーの祖父フルヴィオがルガーテの丘にあるモンテフィオレンティーネの畑を購入。カルガーテの歴史が始まります。「ルガーテ」は、ソアーヴェの公的なクリュとして2019年に認定された33のクリュのひとつ。モンテフィオレンティーネはルガーテ地区内の6.8ヘクタールほどの小区画で、ソアーヴェクラシコの中心地にあり、標高70~200mの丘陵地帯。

■カルボナーレの土壌は玄武岩土壌(火山性土壌)で緑や赤、時にオレンジの土壌が混じり、非常に複雑性に富む強い個性を持った畑で、出来上がるワインからは溢れんばかりの柑橘の香り、ピチピチとした酸味、新鮮味のあるミネラルが感じられます。

ガルダ湖

クストーザ

■「1971年DOC認定。エリアを代表する辛口白「クストーザ」。イタリア最大の湖の南東に位置する海抜50〜150メートルの丘陵地帯。ライムストーンや粘土、砂礫など氷堆積による非常に多様な土壌を持ちます。歴史的にはイタリア独立戦争の下、二度の大きな戦乱(1848年、1866年)があったことで知られる場所です。地名を冠するワイン「クストーザ」は1971年DOCに認定されたこの地を代表する果実味の豊かさとアロマティックな風味が特徴の辛口白ワインです」

ヴァルポリチェッラ

■ヴァルポリチェッラでは、地元で栽培される4つのブドウ品種コルヴィーナ、コルヴィノーネ、ロンディネッラ、モリナーラに基づいてワインが生産されています。中でもコルヴィーナは、DOCワインにおいて45%~90%使用されることが法律で決められています。コルヴィノーネをコルヴィーナの代わりに50%以下で使用することも可能であり、それは丸みを帯びたチェリーの香りを提供します。ロンディネッラは、ブレンドの5%~30%を占めていなければならず、それは緑豊かな花の記憶を提供します。最近では、モリナーラは控えめに使用され、ヴァルポリチェッラのワインに酸味を提供します。

■ヴァルポリチェッラは、[…]千年を超える歴史を持つこの地域は、240平方キロメートルの土地を持ち、北部の国境となっているアルプス山麓の丘にあります。[…]ヴァルポリチェッラの歴史ヴァルポリチェッラのワイン造りは、少なくとも古代ギリシャ人がこの地で生活をしていた時代から存在していました。1950年代、この地域は独自のDOCを獲得し、1960年代後半には質の高いワインを生産するという公式認知を得ていました。

アマローネ

■アマローネは、イタリア語で「アマーロ=苦い」が語源。これはもともと特産品の「甘い」ワインを作ろとしたところを失敗してできてしまったもの、つまり「甘くなくて、苦い」というのが起源。

■ロミオとジュリエットの舞台でもあるヴェローナの街、その近郊のヴァルポリチェッラ地区で作られるワイン。

■アマローネの歴史は100年くらいで、イタリアワインの中では比較的歴史は浅い方。というのも、そのずっと昔からあった甘口白ワインの製法を、仕事にルーズなワイン職人が作り方を間違ってできたもの。

■手間暇がすごくかかるワインで希少価値が高く、昔は王侯貴族だけが飲むことを許されていたワイン。

■製法をざっくり言うと、手積みで収穫した葡萄を木製のケースに入れて風通しのよいところで陰干しにする。葡萄の水分が半分くらいになるまでおよそ4ヶ月くらい毎日品質をチェック。枝付き干し葡萄みたいになったら果汁を絞って酵母を加えてワインにしていく。大量の葡萄からほんの少しのワインしかできない。

■使っている品種はヴェローナの固有品種、コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラという葡萄で作る。

■「気温が低く偶発的には醗酵が始まらない2月頃まではアパッシメント(陰干し)したブドウを使って発酵させます。醗酵が始まり温度が上がったところでより多くの果汁をブレンドして糖分が完全になくなるまで約1ヵ月間かけて発酵させ、その後大樽で1年以上かけて熟成されます」(Luigi Righetti)

リパッソ

■イタリアのヴェネト州で赤ワイン造りに使われる伝統製法、または銘柄の呼称。アマローネを造る際に出た黒ブドウの搾りかすに通常の赤ワインを注ぎ入れてさらに醗酵させたもの。元の赤ワインより凝縮感のある果実味、ソフトなタンニンで香りも華やかに仕上がる。干しブドウのような状態のブドウを搾って造るアマローネの搾りかすにはまだまだ糖分が残っており、再利用することによってその素材を充分に使い切るという知恵が生み出された。

■(比較)Chianti における「トスカーナ式ゴヴェルノ法 (Governo all’uso toscano)」。「半乾燥したブドウのモストを、既に発酵を終えたワインに加えて軽い二次発酵を起こし、ワインの口当たりを良くする

■(比較)カンポフィオリン。「ダブルファーメンテーション(二重発酵)」という古来のリパッソ製法をマァジが復活させ、1964年に初めて醸造されたワインです。最初に全3種の土地固有種ブドウを一次発酵させ、そのワイン(70%)を、同じ全3種を約6週間半乾燥させた陰干しブドウ(30%)に注ぎ入れ二次発酵を行います。

ヴェスパイオーロ

■主要産地ブレガンツェ。近くにはホワイトアスパラガスとグラッパで有名なバッサーノ・デル・グラッパがある。

■公式記録では1825年、昔は甘口ワインとして醸造。名前は、熟すと甘い香りを発し、その香りにスズメバチ(ヴェスパ)が群がることに由来。

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア

観光

■イタリアの中でも最高級といわれるサンダニエーレ産の生ハムが世界的に有名。

■北は比較的涼しいオーストリア、東はスロヴェニア、南は温かいアドリア海に位置する地域。

■州都トリエステはカフェの街とも呼ばれ、毎年10月に「トリエステ・エスプレッソ」というエスプレッソの国際見本市が開催されている。1933年、イリーはトリエステで創業。

■イタリア語以外に、ドイツ語、オーストリア語、スロヴェニア語、フリウリ語が使われている。

■固有品種が多いイタリアワインの中では珍しく、19世紀からカベルネやメルロー、シャルドネなど国際品種を積極的に栽培。※当時の宮廷料理はフランス料理が中心で、その献上品として栽培していた。

■イタリアにおける白ワインの聖地と言われる。最近では、白ワインを赤ワインのように皮ごと発酵させるオレンジワインの産地としても有名。

ポンカ

■ポンカ…「フリウリ特有の豊富なミネラルを含む石灰泥灰土とカルシウムを含む砂石が混ざった水はけのよい混合土壌」「泥灰、石灰、砂が固まった薄く脆い石が幾層にも重なる特徴的な沖積質土壌。手に取り簡単に割れるほど脆い。水はけが良く、根が深く伸長する。独特のミネラル感をもたらすと言われる」

■フリッシュ…「砂岩、泥岩とも基本的に石灰質で構成されるフリッシュと呼ばれる特有の土壌は、味わいに特有のミネラル感をもたらす」

■「フリウリのワインを語る上で欠かせないのが、ポンカと呼ばれる土壌です。元々は海底だった始新世期時代の泥灰土と砂岩の層が、ロサッツォDOCGのすべての土壌を特徴づけています」

フリウリの気候とボーラ

■「フリウリは、地中海気候の最北地に位置し、冬は穏やかで、夏は温暖なブドウ栽培にはとても恵まれた気候です。ロサッツォの台地は、海から30kmほどの距離にあり、北側のサンタ・カテリーナ山にも保護されています。また、夏の間、時折吹く北西の風 “BORA”(ボーラ)が雲や湿気を吹き飛ばし、冷涼で乾燥した気候を保ちます

フリウラーノ

■「ビターアーモンドのアロマとかすかな苦味を感じさせる味わいが特徴」「フリウリ産の良質なフリウラーノは、2~3年の熟成により、典型的なビターアーモンドの美しい余韻が感じられます」「良年のものは数年の熟成に耐える」

■スイートアーモンドとビターアーモンドの違い。ビターアーモンド「アーモンドシロップ、白い糊、杏仁系の香り」

オレンジワイン

■コッリオの銘醸地オスラヴィアのオレンジワイン。アンフォラ派(グラヴネル)、開放式の木樽(プリモシッチ)。他、オスラヴィア生産者協会(ラディコン、ダリオ・プリンチッチ、ラ・カステッラーダ、イル・カルピノ)。

■「1980年代のころは奇妙なワインとして蔵に返品されることが多かった」。「1990年代、グラヴネルがジョージア産のアンフォラを輸入してオレンジワインを造り始めた」。

■コッリオのオレンジワインは「農夫の知恵から生まれたワイン」です。そう語るのは、ワイナリーの2代目、マルコ プリモシッチ氏。マルコ氏の曽祖父の時代、「コッリオの人たちはリボッラ ジャッラを使ってワイン造りを行っていましたが、ブドウの皮がしっかりしているため、プレスするとジュースがあたりに飛び散ってしまって困っていました。そこで、ジュースが飛び散らないように赤ワインと同じように白ワインを造り、ブドウの皮をそのまま浸漬してワインを造ってみようと誕生したのが、現在のコッリオで造られるオレンジワインの起源です」と話しています。

■またマルコ氏は「コッリオのオレンジワインは全てアンフォラで造っていると思われる方が結構多いのですが実はそれは違います。」と話しています。アンフォラはジョージア産まれたものですが、ジョージアからスロべニアに伝搬した歴史があり、グラヴナーのオーナーのヨスコ グラヴナー氏がコッリオでは先駆けて導入、世界に知られるようになりました。グラヴナーとプリモシッチは徒歩で行けるほどのご近所さん、彼らは切磋琢磨しあう友人ですが、プリモシッチではアンフォラは使用せず、オレンジワインの発酵には開放式の木樽を使用しています。醗酵中に2時間ごとに丁寧にパンチング・ダウンを行うことで、独特の色合いやマンダリンのキャンディのような香が広がるアロマ豊かでリッチなオレンジワインが産み出されています。

マルヴァジア

■Malvasiaは、古代の伝統を持つ最も古い白ブドウ品種の一つです。2000年以上前のギリシャが起源とされており、中世にマルヴァジアワインを輸出入していたギリシャのMonemvasia(モネンバシア)港が名前の由来です。Monemvasia(モネンバシア)からマルヴァジアのワインが人気となり、イタリア、スペイン、マデイラ、カナリア諸島でも栽培され、醸造されました。現在では、イタリア、スペインを中心にギリシャ、クロアチア、スロベニア、アメリカなど地中海全域に見られるようになり、ポルトガルではポートワインの酒精強化ワインとして有名になりました。

■さらにMalvasiaは、多種多様なブドウ品種としても知られており、Malvasiaの名前を持つブドウ品種は、少なくとも18種類以上あります。さらに、地域や品種によって辛口から甘口、スパークリングまであらゆるスタイルのワインを造ることができるブドウ品種として注目を集めています。

■Malvasiaの多くは白ワインとして醸造されており、[…]とはいえ、先ほども述べたように、非常に多くのサブ品種があり、地域やスタイルによってその味わいが異なるため、味わいを一概にまとめることは困難ですが、典型的なMalvasiaの白ワインは、洋梨や柑橘系、桃などの熟した果実味、トロピカルな果実味、ジャスミンなどのハーブのアロマ、ほのかなハチミツのような甘みとミネラル感をバランス良く持った芳香性の高いワインに仕上がる傾向にあります。

エミリア・ロマーニャ

全域

中部イタリア

トスカーナ州

観光

■代表的な都市はフィレンツェ。レオナルドダヴィンチ、ミケランジェロ、ガリレオガリレイなど、学校の教科書に載っていた人たちが活躍した場所。

■フェレンツェ以外でも歴史を感じさせる街(ルッカ、シエナ、ピエンツァなど)はいくつもあって、今から600年前、15世紀のゴシック様式の荘厳な建築物が、年月を超えて今なお街並みに残っている地域。

■街だけじゃない。山とか森とか自然景観さえも世界的に有名で、世界遺産の数々、温泉がたくさんあって、さらにイタリア屈指のワインの宝庫。長期療養するには最適な場所。

■難点があるとすれば、料理がけっこうな肉食系でシンプルなものが多い。猪料理、兎料理、内蔵料理、ボリュームたっぷりのステーキ肉の豪快な炭火焼が有名。

ガレストロ・アルベレーゼ・泥灰土の関係

■「フィレンツェとシエナの間に広がるキアンティ・クラッシコのエリアですが、4つの土壌に分かれます。それは、GALESTRO(ガレストロ)という石灰質を帯びた泥灰土の片岩を多く含む土壌と、ALBERESE(アルベレーゼ)という炭酸カルシウムを多く含む泥灰土の片岩を多く含む土壌、TUFO(トゥーフォ)という凝灰岩を多く含む土壌、それから粘土質土壌(石灰質の少ない泥灰土の片岩の土壌を含む)です」

■「エリアの南側は、粘土質土壌で(粘土分の多い瓦礫を含む土壌)、果実味の強いキアンティ・クラッシコが生まれますが、我々のラ・セルヴァネッラの畑は、中央のラッダ・イン・キアンティエリアでも先に述べたような恵まれたミクロクリマで、土壌はガレストロ(粘土と石灰質の瓦礫を含む土壌)とアルベレーゼ(粘土+炭酸カルシウムの瓦礫を含む土壌)で構成されています。この土壌特性により、果実味、酸、タンニンのバランスが取れた、複雑で繊細な風味のキアンティ・クラッシコが生まれます。」

■※ガレストロ土壌=Galestroの片岩を多く含む土壌/モンタルチーノ北部 ⇔石灰質粘土の片岩を多く含む土壌(粘土質土壌に分類される)/モンタルチーノ南部

■「ガレストロはおもに粘土質で破砕しやすい片岩で構成された土壌であり、語源はイタリア語である」「 片岩は鉱物が層状になっている硬くて密度の高い岩で構成され、熱を保持するため日中の熱を夜間に放出する。 これがワインに独特の風味をもたらすとされている」

■「土壌は主にアルベレーゼとガレストロを含む土壌で、アルベレーゼは、ワインに生き生きとした酸をもたらし、ガレストロは凝縮感のある豊かな味わいをもたらします」※ガレストロ=痩せた土地

サンジョヴェーゼ

■15世紀から記録が残る、イタリアでもっともポピュラーばブドウ品種。

■イタリア起源のブドウで唯一の国際品種(イタリア国内の別の場所で栽培されていることはあっても、国外で栽培されることはまずない)。イタリア移民の多いアメリカやアルゼンチンで栽培されている。

■主にイタリア中部で栽培されているが、栽培されている土地がそもそも広範囲で、栽培方法も色々自由、どこでもどんなやり方でもワインになってしまう。良くいえば順応性が高く、悪く言えば半分素人でもできてしまう。

■生産者によってピンキリの振れ幅がすごい。正直、開けて飲んでみないと分からないものが多い。同じキャンティ地区のものでもスーパーのイオンで人気のサンジョヴェーゼは780円、カステッロディアマのサンジョヴェーゼは現在の相場が27,000円。

■クローン(兄弟姉妹)が88種もある。

■直訳すると「ジュピター(神話の神様)の血」を意味する。

■「生育においては、成熟が遅いため、暑い年には濃厚でアルコール分が高く長期熟成に耐えうるワインになり、冷涼な年には酸とタンニンが強くなる傾向があります」「またサンジョヴェーゼの主要な産地であるイタリア半島中部は、東西の幅が狭い上に真ん中にアペニン山脈が貫いており、地形は海から平野、丘陵地帯、山岳地帯と変化するためブドウ畑のテロワールも多彩」

キャンティ・クラッシコ地区

■キャンティクラッシコDOCGの生産エリアは8つの行政区画(Comune)からなる。①グレーヴェ・イン・キャンティ ②バルベリーノ・タヴァルネッレ ③ガイオーレ・イン・キャンティ ④バディア・ア・パッシニャーノ ⑤サン・カッシャーノ・ヴァル・ディ・ペーザ ⑥⑦⑧

■グレーヴェ・イン・キャンティ地区にある集落『フラッツィーネ・パンツァーノ・イン・キャンティ(ラベルに記載可)』は『コンカ・ドーロ(黄金渓谷)』と呼ばれ、グランクリュ的意味をもつ。

■2014年ヴィンテージより『グラン・セレツィオーネ』の表記が可能。『リゼルヴァ(法定熟成期間24ヶ月)』より長い30ヶ月の熟成、また自社畑のブドウのみ使用可。

■「ブランカイアのキャンティ クラシコは<モダン>と言われますが、私たちは<モダン・トラディショナリスト>と考えています。畑仕事は伝統的、醸造は近代的な手法です。昔風のキャンティ クラシコは、樽に長く浸けていて、不必要な要素までワインに抽出されたりしました。ブランカイアでは本来のサンジョヴェーゼの果実味を出すことを重視して、そのための醸造をおこなっています」

ボルゲリ地区

■「ボルゲリの土壌は11種類に分類され、それぞれが複雑に絡むサッシカイアの土壌が…」

■「南北に細長くひろがったマレンマと呼ばれる地域に含まれ、キャンティやブルネッロ・ディ・モンタルチーノとは異なる地中海性の温暖な気候が特長です。年間を通して温暖で常に海からの風を受け、さんさんと降り注ぐ陽光のおかげで日中は暖かく、夜は海風の影響で冷え込みます。この温度差がブドウの凝縮感を高めながら、肉厚でジューシーな果実を育てます」

■「サッシ=石、カイア=~な場所」と名前が表すとおり、その土地はまさにボルドー・メドックに似た、石ころだらけの畑であり、カベルネ・ソーヴィニヨンに最適の地質でした」

モンタルチーノ地区

■「(ブルネッロ)…しかしながらロッソ・ディ・モンタルチーノに関してもサンジョヴェーゼ100%で造ることが義務付けられている。若いサンジョヴェーゼは酸が鋭角的で、タンニンは強い収斂味があり、他の生産地域では補助品種をブレンドしてマイルドにするのが常である。

■モンタルチーノは中心の市街を囲んで歪な楕円に広がる生産地域である。一般的には北部は気候が冷涼で、出来上がるワインはエレガントなブルゴーニュスタイルとなる。

モンテプルチアーノ地区

■プルニョーロ・ジェンティーレとは、「優しいプルーンのような果実」の意。

ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ

■原産地呼称法が1963年に制定。1966年DOC認定第1号が「Vernaccia di San Gimignano」 ※当時の名称は異なる

カルミニャーノ

■トスカーナのDOCGワインの中で一番小さいエリア。「カルミニャーノ」このワインを生しているのは現在わずか14社」「最小のDOCG」
■「カルミニャーノ」と呼ばれるワインが最初に記録されている文献がプラートのダティーニ文書館で保管されており、「1396年12月8日、マリオ・ダティーニが多量のカルミニャーノ・ワインを他のワインより4倍の高値で購入した」と記されています。

■約3000年前のローマ時代以前に既にブドウ栽培が行われていた。※エトルリア人の墓からワインを保管する容器やカップが発見された

モンテクッコ地区

■モンテクッコのサンジョヴェーゼは他よりも房も粒も小さく育ちます。そして、色素成分のアントシアニンが多いため色が濃いワインとなり、フルーティーな香りにスパイシーな特徴が現れます。

■アミアータ山の麓の丘陵地、標高320メートルに位置しティレニア海の方向に畑は開けています。風が強く吹き、温度変化が大きく、8月は昼間30~35度近く上がりますが夜には15度にまで下り、寒暖差があるブドウにとって理想的なミクロクリマに恵まれています。また畑の北部に流れるオルチャ川の向こうはブルネッロ ディ モンタルチーノが生産されている絶好のロケーションです。 ※海からの風の抜け道になっている。

マレンマ地区

■マレンマ地方はトスカーナ州南部からラツィオ州北西部にかけてのティレニア海沿岸地域をさすのですが、県境のような地理上の線引きはされていません。日本でもありますよね?「湘南地方」など「〇〇市は湘南と名乗らないでほしい」とか他の街の住民に言われてしまったり…。マレンマ地方でも御多分に洩れずこの論争が起こっています。​

■日本からは人気のメジャーなローマーフィレンツェーヴェネチアーミラノなどを巡る観光都市ルートから離れているため、短期間の滞在ではなかなか訪れる機会のないマレンマ地方ですが、イタリア国内を始めヨーロッパ各国からたくさんの人々がバカンスを過ごすためにここを訪れます。トスカーナはなだらかな丘と糸杉の風景『世界の田舎』『皆の原風景』と皆が憧れを持ち、また歴史的観点からも世界中から観光客が絶えませんが、飛行機で来られるピサ、フィレンツェはイギリス、アメリカ、アジアからの観光客が多いのに比べ、マレンマ地方は移動手段が車となるため、ドイツ、オランダ、オーストリア、スイスなどからイタリアの太陽を求めて車で来る方が多いようです。

ヴィン・サント

■白いヴィン・サント最もポピュラーなタイプで、ドライイチジクとアーモンド、トフィーのアロマがあります。主にマルヴァジア・ビアンカ種とトレビアーノ種からつくられます。

■赤いヴィン・サント…Occhio di Pernice/オッキオ・ディ・ペルニーチェと呼ばれる珍しいヴィン・サントになります。キャラメルとコーヒー、ヘーゼルナッツのアロマを持ち、サンジョベーゼ種で造られます。

■「ヴィン・サントはブドウを麦わらのマットの上に並べて、水分が約70%減少するまで、最長6ヶ月間ほど陰干ししてから使用します」「乾燥させたブドウを圧搾し、オーク樽や栗の樽で醸造します。発酵は非常にゆっくり進み、完了するまでに4年程掛かる場合もあります」

■「ワインの醗酵も、糖分がかなり高いために難しく、通常最低3年の熟成期間が必要です。そのうえ、100㎏のブドウからできるワインの量は、約15リットルほどです。そのため、希少価値が高く珍重されています」

■アヴィニョネージ社のオッキオ・ディ・ペルニーチェ「乾燥させた干しブドウを圧搾した搾汁を、何年も使い回ししている50リットルの極小樽(樽の中には残留酵母が存在)に注ぎ、打栓。樽内で醗酵と熟成を繰り返し、10年間静置させて熟成させる」

パッシート、レチョート・貴腐ワイン、ヴィン・サント

■「パッシート…収穫後、陰干しして糖度を高めたブドウを原料にして作る極甘口のワイン。果汁が濃厚で、アルコール濃度の高い、芳醇なワインになります。生産過程が貴腐菌に依存する貴腐ワインは、貴腐菌が作用しやすい環境が必要であるため限られた地域でしか造ることが出来ませんが、パッシートは生産地域が限定されないというメリットがあります」

■「レチョート…パッシートと同様に、収穫したブドウを陰干しにして造るワインですが、特にヴェネト州で造られたものを指します。レチョートとはイタリア語で「耳たぶ」という意味であり、ぶどうを耳たぶくらいの硬さになるまで乾燥させるというとことからこう呼ばれています」

■「ヴィン・サント…収穫したブドウを藁の上で数カ月陰干しにし、干しブドウになって糖度が高まった所で果汁を搾り、発酵させ、密閉した小樽の中で最低3年以上熟成させた、高価なデザートワインで、豊潤な甘みが特徴。トスカーナ州で多く造られていますが、トレンティーノ地方でも造られています」

フレスコバルディ

■カステッロ・ポミーノ…海抜700m。世界初の原産地呼称(1716年)、トスカーナの白ワインDOC生産エリアとしては最小の面積。1500年代創業のエステート。1873 年ウィーン国際博覧会で受賞。1878年パリ万博金賞。

■ベネフィッツィオ…1973年イタリアで初めてシャルドネを樽熟成して醸造したワイン。

ウンブリア州

観光

■州都はペルージャ。元サッカー日本代表の中田英寿選手がイタリアで活躍したのが、この地域を拠点とするセリエAのペルージャ(1998年)。

■海に面していない唯一の州。別名「緑の心臓」とも言われる、森に囲まれた緑豊かな州。州の70%を美しい緑の丘陵地帯が占めている。

■ペルージャ、オルヴィエート、アッシジなど、多くの街が今なお中世の痕跡を色濃く残しており、歴史的建造物が立ち並んでいる。

■ウンブリア州南部にあり、聖ヴァレンティーノを守護聖人とするテルニの街は、バレンタインデー発祥の地と言われている。多くの恋人を幸せにしたといわれる聖ヴァレンティーノの伝説に由来し、彼の命日の2月14日が「愛の日」となった。

■神秘的なまでに清らかな自然のせいか、ウンブリア州には多くの修道院がある。→フランシスコ修道会(創始者アッシジ)、聖フランチェスコ教会

■丘の上に立つ小さな魅力的な村、それぞれに美しい教会があり、独自の文化を保っている。

サグランティーノ

■中世の文献にすでに登場しており、当時も今もモンテファルコという土地だけで栽培される品種。

■Sagra はキリスト教の収穫祭の意。またキリスト教の儀式サクラメントに由来するとされている。元来、収穫祭に飲む甘口ワインとして扱われていた。

■「伝統的な手法として、パオロ・ベア」のように完熟遅摘に徹底し、昔ながらの温かみのあるサグランティーノを目指す生産者も…」

■赤ワイン用のブドウ品種「サグランティーノ」。モンテファルコ村でしか栽培されていない、起源が不明の謎めいた品種(周辺地域にクローンが存在しない)。語源は「サクラメント(儀式)」に由来。中世にギリシア正教会の修道士によって教会の儀式用のワインを作るためにギリシアからモンテファルコ村に持ち込まれたという説が有力。

マルケ州

全域

■69%が丘陵地帯、31%が山岳地帯で、平野部はほとんどない。

■観光資源が豊富で、美しい自然(特に海)だけでなく、『ルネッサンスの理想都市』とまで褒め称えられたウルビーノ、古代から栄え続けた街アンコーナ(州都)などが有名。

世界遺産ウルビーノ

■「ルネサンスのタイムカプセル」、伊中部の小都市ウルビーノ

■「今日、ウルビーノに行くのは、フェデリーコの時代と比べてはるかに容易というわけではない」「イタリアでは珍しいが、ウルビーノには鉄道の駅がなく、最も近いペーザロの駅まで45分もかかる」「しかしそのおかげで、イタリアの他のルネサンス都市がモダンな周辺地区に飲み込まれ、マスツーリズムによって息が詰まっているのに対し、ウルビーノはありがたいほど当時の姿を保っている」

■ウルビーノは訪れるのが困難な場所にあるからこそ、歴史的中心地が完全な形で保存され、他の大都市で行われたような大規模な建築プロジェクトを回避できたと指摘する。

■ウルビーノを世界遺産リストに登録したユネスコも、「(ウルビーノでは)ルネサンス時代の街並みが見事に保存されており(中略)18~19世紀にはさまざまな干渉があったが、ルネサンス期のレイアウトはほぼ完全に手付かずの状態で残っている」と評価している。

州都アンコーナ

マテリカ

■「アドリア海側のカステッリ ディ イエージ地区から60キロ程内陸に入ったマテリカ地区は海岸部とは性質の異なる標高400〜500メートルの高地、内陸性気候となります。育つブドウもミネラルと酸を備えたポテンシャルの高いハイレベルなブドウが育ちます。モナチェスカの畑は以前は塩田だった事もあり、ミネラルと酸、塩味を感じさせ、複雑なアロマを持つ長期熟成型のワインとなります」

■「産地の規模が非常に小さいことと、山々に囲まれ陸の孤島となる物流条件の悪さがマテリカワインの普及を妨げてきた。 アルド・チフォラ氏はこのマテリカの可能性を信じ、その塩分を感じさせるミネラル感、高い酸度からくる長い余韻、透明感溢れる造りながらも豊かな表情・複雑味を見事に表現することに成功し、マテリカの名を広めた」

■「豊富なミネラルを含んだ土壌。 元々塩田であった関係で、表面は灰色がかった粘土質が覆っているが、ミネラルに富む土壌が地中深くまで続いていて、複雑な構成となっている。 高い樹齢から密度の高さを、複雑な土壌から味わいの深みを、南向き斜面から強い果実感を。 そして、比較的冷涼で昼夜の温度差の大きさから高い酸度を得ている。 まさにヴェルディッキオにとって最高の条件が揃っている畑と言える」

アブルッツォ州

全域

■34%が丘陵地帯、65%が山岳地帯で、平野はわずか1%。山岳が多いこともあり人口密度は低く、「人間よりも羊の方が多い」と揶揄される。

モンテプルチアーノ

■アブルッツォの地形は非常に特徴的である。西側は起伏に富む山岳地帯(アペニン山脈)が連なり、東側はアドリア海沿岸地帯となっている。

畑は文字通り海と山の中間に広がっており、山の麓の丘陵エリアと平坦な海沿いエリアの2つに分けることができる。丘陵エリアは温暖な大陸性気候を持ち、雪の降る寒い冬と温暖で短い夏を持つ。海沿いに比べて日較差も大きくなる。標高も高く山からの冷気の影響を受けるが、これがブドウの生育期を引き伸ばし、糖分蓄積のスピードを低減させる。これによってしっかりとアロマやフレーバーが完熟する時間を確保できる。しかし、畑では春の霜害と収穫時の雨がリスクとなり、また傾斜があるためブドウの管理や収穫は基本的に手作業が求められる。

一方で、海岸沿いエリアでは気候はよりマイルドな地中海性となり、春の霜も秋の雨もそれほど心配にはならない。丘陵エリアよりも気温が高く、地形はなだらかで土壌はより肥沃となる。つまり、畑は基本的にはより大量生産型のブドウ栽培に向くと言える。このため仕立ても機械で管理しやすいコルドンまたはグイヨが多く見られ、収穫も機械を使う人が多く見られる。しかし、モンテプルチアーノという品種にフルーティーさあるいは柔らかなボリューム感を求める場合は、丘陵エリアだとかっちりしすぎてしまうケースもある。ある程度肥沃な土壌の方が理想とする味わいに近づけるため、必ずしも海側と山側ではっきりと優劣をつけることは難しい。

■アブルッツォと言えば、まず思い浮かぶのがモンテプルチアーノの赤ワインである。この品種は晩熟で、同じ房内であっても粒の成熟が不揃いになることで知られている。ブドウに備わるタンニンとアントシアニン量が多いため、生産者は求めるスタイルによってマセラシオンの期間を変える必要がある。例えば4-5日などの短期間ではよりシンプルで軽やかなスタイルとなる。レッドチェリーなどの赤系果実を持つミディアムボディで、中程度のタンニンを持つ。このスタイルでは樽を使用しないことが多く、価格はカジュアルなものが多い。一方で、20日などの長期に渡るマセラシオンでは、深く濃い色調に力強いフレーバーを持つ本格的なワインとなる。レッドチェリーにブラックプラムなどの力強い黒系果実が現れ、フルボディでタンニンの量も多くなる。このため多くの生産者がオーク樽での長い熟成、またはリリース前の長い瓶熟を取り入れている。こうしてタンニンが見事に和らげられる。オークは大樽が一般的だが、一部では上級キュヴェにバリックが用いられることもある。

モリーゼ州

全域

■45%が丘陵地帯、55%が山岳地帯で、平野はほとんどない。

ラツィオ州

全域

■州都ローマ…イタリア州都の中でもっとも日照時間と晴れの日が多い街

■『永遠の都/ローマ』…世界中の芸術・文化遺産の30%がローマにあるといわれ、世界中から観光客が押し寄せる。

■ヴァチカン…ローマ・カトリック教会の総本山

南イタリア

カンパーニャ州

全域

カンピフレグレイ

■「イタリアにある『Campi Flegrei』は、世界でも指折りの危険な火山として知られています。そのカンピ・フレグレイが、約500年の休止状態を終えて、ついに噴火目前の臨界状態に近づいている兆候が見られると科学者が警告しています」

■カンパーニャ州のカンピ・フレグレイDOCはナポリの西、イスキア島を臨むバーコリを中心とした7 つの町で形成されます。数万年前の噴火によって造られたカルデラ盆地に町が形成され、ブドウもこのカルデラの内側の畑で栽培されます。歴史のあるカンピ・フレグレイの葡萄は、1800 年代にヨーロッパを襲ったフィロキセラからも身を守ることができました。火山灰による硫黄分の多い砂質土壌、そして活火山の影響で土の温度が高いために、フィロキセラが死んでしまうのです。

■ファッロの畑ではビオ・ロジックが実践され、平均樹齢は20 年。中には100 年を超える古木もあります。全ての樹はアメリカ台木を使わない、まさにプロフィロキセラで、接木をしていません。まだまだ日本ではメジャーではないこのエリアですが、ギリシャから葡萄が伝わり、そして火を噴く山々が害虫から葡萄を守り、現代まで紀元前の歴史を残している数少ない産地です。

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ

■「洋梨とスパイスのアロマがあり、また長く持続するヘーゼルナッツの香味があり、口当たりも優しい」「新鮮でフルーティなワインに仕立てようとする醸造所が多いが、昔風に深みと複雑さを大切にする醸造所もある」

イスキア島のビアンコレッラ

■「ビアンコレッラは、昔からイスキア島で栽培されてきた品種で紀元前にギリシャからワイン造りが伝わって以来、2000年以上にわたってワインが造られてきました。島の南西部にあるギリシャ植民地時代の農園跡から見つかったブドウの種を調べた結果、現在のビアンコレッラのDNAと似ていることが判明しました」 ※古代ギリシアの時代から変わっていない

■「1966年、イスキアD.O.C.はイタリアで2番目にDOCに認定されました」

■「イスキア島はカンパーニア州ナポリ湾に浮かぶ美しい島で、“トゥーフォ・ヴェルデ”(緑の凝灰岩)と呼ばれる、火山性土壌が海水を浴び続けることで緑色になったとされる特殊な土壌で構成されています」
「カーサ・ダンブラのワインには、この土壌に由来する豊富なミネラルと、寒暖差のある畑で育つブドウがもたらす華やかなアロマと心地良い酸が共通して感じられます。
また、あまり雨が降らず地表が乾燥しやすいイスキア南西部でも、もろく崩れやすい凝灰岩は密度が低く吸水性に優れているため、一度雨が降れば雨水は地下に溜まります。ブドウの樹が水を求めて地中に向かって根を伸ばすことで、水分とともに地下深くに蓄えられた様々な養分を吸収することができます」

■ナポリ湾に浮かぶ島々の中でも最大であり、かつ最も美しいと呼び名の高いイスキア島は、湯治の地として知られています。 ナポリから最大の町イスキア ポルトへは、フェリーやハイドロフォイルで移動します。 

■火山島…海底火山の噴出によって海面上に現れた島。また、火山噴出物が堆積(たいせき)したり、海底の隆起によって、その頂部が水面上に現れ火山島になることがある。

ファランギーナ

■カンパーニア州最古の品種のひとつ。

■「フレグレア」と「ベネヴェンターナ」という遺伝的に異なる2種のファランギーナが確認されており、それぞれ異なる特徴のワインが造られています。フレグレアはしっかりとしたストラクチャーと高いアルコール度数を持ち、ベネヴェンターナは花のようなニュアンスが際立っています。Faranghina Flegrea Faranghina Beneventana

■Faranghina Flegrea はギリシャのサンティカが起源、ギリシャ移民がカンピ・フレグレイ地域に持ち込んだもの。

■Faranghina Beneventanaはベネヴェントのボネアが起源。

■ファランギーナは19世紀に繫栄した後、フィロキセラ禍で栽培は一気に減少したが、次第に復活を遂げた。マッシコのエリアでフランチェスコ・アヴァッローネ氏が1970年頃にファレルノの麓で再発見し、栽培を拡大した。また、マルトゥシェッロ家がアヴェルノ湖の斜面で樹齢百年以上のプレ・フィロキセラの数株の樹を発見し、カンピ・フレグレイのエリアに拡大していった。あまりフィロキセラの影響を受けなかった数少ない品種のひとつであることから、多くの場合自根で栽培されている。

■名前の由来は樹勢が強いため、支柱としてラテン語でFalangaと呼ばれる竿にブドウの樹をくくりつけていたからだと言われる。

■カンパーニア州で栽培されているこのファランギーナ種は州の沿岸部や北東のベネヴェント県で栽培されているポピュラーな品種です。長い間ひとつの品種であると考えられていましたが、DNA解析により2つの種に分かれていることがわかりました。フレグレイ平野をはじめ州内で広く栽培されている『ファランギーナ・フレグレア(Flegrea)』はグラマーな果実味とミネラルの味わい。もう一方の『ファランギーナ・ベネヴェンターナ(Beneventana)』はナポリ県の北東隣にあるベネヴェント県のボネア村が原産とされ、限られたエリアに分布しています。酸度が高く、熟成可能な品種。通好みの洗練されたワインになります。

■ファランギーナの主要産地。カンピ・フレグレイ、カプリ、コスタ・ダマルフィ、

■ファランギーナの一番の特徴は酸です。海岸沿いで造られるファランギーナと違い、ベネヴェントで造られた品種は熟成に耐え、豊富なミネラル(塩味)を持つことも特徴です.

■ファランギーナは、古代ローマ時代から伝わる土着品種で、現在では、南イタリアのもっともポピュラーなブドウ品種のひとつとして知られています。

■ファランギーナという名前は、古代にブドウ栽培に使われていた、ファランガという樹の成長を補助する為の長い木の道具に由来しています。

■1930年代には、イタリアの最も優れたブドウの一つと認定され、南イタリアの主要なワイン生産地でファランギーナ栽培の普及が推奨され、広く栽培されるようになりました。地元カンパーニアでは最も愛飲されている白ワインで、活き活きとした酸とフレッシュ感が魅力のワインで・・・。

Piedi Rosso

■「Il Piedi di un Colombo (鳩の足)」に葉柄の一部に似ており、収穫期になると茎部が赤くなるため。

Campania

■人口は583万人ほどでロンバルディア州に次いで2位、人口密度はイタリアでトップです。風光明媚な州で全域が観光名所といって過言ではありません。州都は「ナポリを見てから死ね」と言われるほど美しい港町で南イタリアの中心都市として栄えてきました。ローマに引けを取らないほどの文化を誇ったナポリですがとくに17~8世紀にナポリ・バロック期には建築、彫刻などに素晴らしいものが造られました。カンパーニア人はサービス精神が旺盛で、外国人がイタリアに抱く陽気なイメージと最も合致すると言われます。

■ナポリから電車30分ほどで古代ローマ時代以前から栄えヴェスーヴィオ火山の噴火で遺跡となった「ポンペイ」があり、さらに南には「マルフィ海岸」があります。アマルフィから海岸沿いに西を向いた先には「青の洞窟」で有名なカプリ島があり、名所を挙げだすときりがないほどです。

アマルフィ

■『世界で最も美しい海岸線』と称され、ユネスコの世界遺産にも認定されているアマルフィ。美しい景観だけでなく、その独特の文化が育っている。歴史的には9世紀頃から繁栄したアマルフィ公国が独自の文化を形成し、その後もティレニア海に囲まれラッターリ山脈に隔てられたソレント半島独特の地形(海岸付近に平地がなくいきなり崖になっている)によって、交通の便が非常に悪かった為、外部の文化が入り込むこともなかった。

現在ではイスラム文化の影響を受けた中世独特の建造物や史跡、自然環境とレモンや手漉し紙の特産品で人気の観光地となっている。2000年前から続くワイン文化に関しても独自の路線を進んでいる。イタリア全土、勿論カンパーニャの平野部も全てフィロキセラによって一時壊滅状態になった訳だが、本土からティレニア海、ラッターリ山脈によって遮断されていること、さらさらと軽い火山灰土壌によってアマルフィはフィロキセラの害から守られる結果となった。

プーリア州

観光

■ワイン生産量第2位(1位はヴェネト州)。赤ワインでは1位。南アフリカやドイツの国内総生産量とほぼ同等。丘陵や山岳が多いイタリアにおいて、州の約半分が平地。

■オリーブ、トマト、小麦粉の生産量がイタリアで1番多い。

■アドリア海の対岸がギリシャに近い。歴史的にも古代ギリシャと繋がりが深い地域。

■トゥルッリというとても古い建築様式が有名。漆喰で真っ白いトンガリ屋根のちょっと可愛い家が、迷路みたいな坂道に何件も立ち並んでいて、街そのものがおとぎ話の世界みたいになっている。普通に人々が生活しているし、ホテルになっていて宿泊できたりもする。

■南イタリアらしい真っ白な町並みと、真っ青な海。近年、観光スポットとして人気が急上昇中。

■「イタリアの食料庫」と呼ばれるほどに、食べ物が豊かな街。主に、オリーブや穀物、野菜がたくさん収穫される。物価水準が安いのも人気の原因のひとつ。

■海に囲まれ夏は突き抜けるような青空の日々が続くことから、プーリア州は属に「ヨーロッパのフロリダ」と言われ、アメリカ人に人気の観光地になっている。

■宇多田ヒカルが挙式したのがプーリア州ポリニャーノ・ア・マーレにある教会。

■レッチェのバロック建築。世界遺産に登録されている神秘的な城、カステル・デル・モンテ。

■53.5%が平野、45%が丘陵地帯で、山岳地帯は1.5%程度。

■典型的な地中海性気候で、夏は暑く乾燥していて、冬は温暖。雨は秋と冬に集中している。

カステル・デル・モンテ城

■「13世紀に神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世(イタリア名フェデリーコ2世)によって建てられたカステル・デル・モンテも世界遺産に登録されています。城内の至るところに八角形を取り入れた設計がされており、小塔や中庭も八角形。今もなお、築城の目的が謎に包まれる不思議な城は、1ユーロセント硬貨にも描かれています」

■一般に、中世の城郭は軍事要塞の役割を担っているのだが、カステル・デル・モンテは軍事目的で建設されたわけではないとされている。

 なぜなら、カステル・デル・モンテの防御力はゼロに近いからだ。城を守る堀はなく、跳ね橋、城壁、矢を射るための窓などの防衛設備も、いっさい持ち合わせていない。城内の螺旋階段も攻める方に有利な左回りで、馬小屋も食糧の保管庫も設けられていなかった。では、何のために建てられた城なのかというと、確かなことはわかっていないのだ。

■「世界の驚異」と呼ばれた天才皇帝フリードリッヒ2世

神聖ローマ帝国とは、962年のオットー1世の戴冠によって成立した中世のドイツ国家の呼称だ。神聖ローマ皇帝は、キリスト教世界の守護者であり、俗界の最高位である。なぜ、ドイツの皇帝であるフリードリッヒ2世が、南イタリアにカステル・デル・モンテを築いたかというと、それは彼が、シチリア王(在位1197~1250)も兼ねていたからだ。彼はイタリアで生まれ、イタリアで育ち、イタリア語を母語とし、イタリアを愛し、56年の人生のほとんどをイタリアで過ごしている。日本では「フリードリッヒ2世」とドイツ語読みで呼ばれることが多いが、イタリア名での呼び名は「フェデリーコ」という。

フリードリッヒ2世は1194年に、イタリア中部のイェジーで誕生した。父は神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世、母は両シチリア王国(ナポリ・シチリア両王国)の王女コンスタンスで、祖父は、赤髯王(バルバロッサ)の異名で知られる英主・神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世である。フリードリッヒ2世は幼いころから聡明で、知的好奇心に溢れていた。歴史、哲学、神学のほか、天文学や数学などを習得している。カステル・デル・モンテの設計にも、フリードリッヒ2世の数学や幾何学の知識が反映されているといわれる。語学にも堪能で、ラテン語をはじめ、ドイツ語、フランス語、ギリシア語、アラビア語など9カ国語を話し、7カ国語で読み書きができたという。フリードリッヒ2世は「世界の驚異」と称される知識人であった。頭脳のみならず、乗馬や槍術、狩猟など、武芸やスポーツにも並々ならぬ才能を発揮した。まさに文武両道の天才である。

 フリードリッヒ2世の功績のなかで、もっとも知られているのは、「破門十字軍」とも称される、十字軍における聖地エルサレムの回復だろう。1228年、フリードリッヒ2世は4万のドイツ兵を率いて十字軍遠征に出発したものの、疫病に罹り、帰還している。教皇グレゴリウス9世は、これを仮病と断じ、フリードリッヒ2世に破門を言い渡している。当時の人間にとって、破門は社会的な死であった。翌1229年、フリードリッヒ2世は病が快復すると、破門の身ながらも、再び聖地へと向かっている。兵を率いてはいったが、フリードリッヒ2世が聖地回復のために選んだ手段は、外交交渉であった。フリードリッヒ2世は、当時、聖地エルサレムを支配していたアイユーブ朝のスルタン、アル・カミールと粘り強く交渉を重ねた。そして、講和を成立させ、10年という期限付きではあるが、エルサレムをはじめとする諸都市の回復に成功したのだ。130年ぶりの聖地回復であった。成功の背景には、フリードリッヒ2世が流暢なアラビア語を話し、イスラムの文化にも深い敬意を払う教養人であったことがあるといわれている。カステル・デル・モンテを築いたのは、これまでの十字軍が武力でもって果たせなかった聖地回復を、無血で成し遂げた男なのだ。

 最後に、カステル・デル・モンテの謎に迫ってみよう。先に述べたように、フリードリッヒ2世がカステル・デル・モンテを建設した理由は定かでないが、いくつかの説がある。最も有力とされるのが、鷹狩りのために建てられたという説である。フリードリッヒ2世は、確かに鷹狩りを愛好していた。しかし、フリードリッヒ2世の著作で、死後に彼の息子が編纂した『鷹狩りの書』には、カステル・デル・モンテに関する記載はない。天体観測や占星術、錬金術などの実験のために建てたとみる説もある。8という数字へのこだわりや黄金比などから、あり得ない話ではないが、これも確証はない。フリードリッヒ2世は、キリストの聖杯を所有しており、それを納めるために建てたという説もある(金沢百枝 小沢実著『イタリア古寺巡礼』)。同著によれば、城の窓からは、フリードリッヒ2世が愛した2人の妻が眠るアンドリアの街が見えるという。フリードリッヒ2世は2人の妻を偲ぶために、カステル・デル・モンテを建てたのだろうか。答えは永遠の謎である。

Primitivo di Manduria

■Primitivo di Manduria DOC…表土は酸化鉄を含む赤土粘土質、その下は石灰岩を多く含む土壌

■Primitivo di Manduria DOC…地中海性気候のため年間を通して温暖です。日照時間が年間300日と長く、とても強い日差しに大地に降り注ぎますが、海に近い地域では海からの風が平坦な内陸部まで吹き込むという特徴があります。強い日差しと涼しい海風が力強くもフレッシュなワインを生み出します。

Primitivo

■実は、プリミティーヴォ、プーリア州の中では先述のジョイア・デル・コッレの地域からプーリア全域に広まったと考えられています。18世紀、ジョイア・デル・コッレにあった教会の司祭であるFrancesco Filippoが、郊外のLipontiにクロアチア原産のブドウを幾つか栽培し始めたとのこと。

名前の語源は、ラテン語の「primativus」や古いイタリア語で「primaticcio」の言葉から来ており、いずれも「最初に熟す」や「早生」といった意味となります。そして、その名前通り、このブドウの特徴は他の黒ブドウ品種よりも早く熟します。※プリミティーヴォ(primitivo)という名前からプリミティブ(primitive: 原始的な)という言葉を連想してしまいますが、原始的という意味ではないようです。

収穫時期は、もちろん畑がある地域やワイナリーが目指すワインによって異なりますが、早いところでは8月中~下旬頃からとかなり早めです。また、一粒ごとに果実の完熟度が異なるのもこの品種の特徴です。

プリミティーヴォは、熟すタイミングが早いことに加え、不均一に熟成する特徴も持ちます。収穫時期が2~3日遅れただけでも果実が萎み急激に酸味や新鮮な香りが失われてしまいます。果皮の色は濃いのですが、厚さは中程度、湿度やカビの影響を受けやすく、とてもデリケートです。

不均一に熟成するということは、同じ房でも一部の果実は収穫時にはすでに熟しきって干しブドウ状態となっているため、糖度が高いブドウが採れます。アルコールはブドウ内の糖分を分解して作り出されるため、アルコール度数が高いワインに仕上がることも珍しくありません。通常、プリミティーヴォで造られるワインのアルコール度数は14度前後ですが、16度~17度、時には18度のワインもあります。

ネグロアマーロ

■ネグロはラテン語でNiger、アマーロはギリシャ語でMavros、共に「黒」という意味。

バジリカータ州

全域

■山により隔離され、地理的に孤立しているので交通の便が悪い。「忘れられていた州」の異名。

■47%を山岳地帯が占め、丘陵地帯が45%、平野は8%しかない。沿岸部は地中海性気候で、内陸部は大陸性気候となる。

■州都のポテンツァは標高819mに位置し、しばしば最低気温を記録する。

アリアニコ・デル・ヴルトゥレ

■「アリアニコ」は古代ラテン語で「ギリシャの」の意。

■マグナ・グラエキアの時代(ギリシアの植民地時代)に、ギリシアからアリアニコが持ち込まれ、この時代からワインの産地として有名だった。

■「ヴルトゥレ」はこの土地の守り神として崇められてきた火山の名前。ワインはヴルトゥレの麓で造られる。レ・マンフレディ(標高420m)

■粘土質と凝灰岩の混ざる肥沃な火山性土壌。純粋な火山性のタウラージが厳格であるのに対し、ヴルトゥレはふくよかで包容力がある。※大陸性気候

■アリアニコ・デル・ヴルトゥレの「ヴルトゥレ」とはイタリア語で「ハゲワシ、コンドル」の意味。バジリカータ州の北部に位置する「モンテ・ヴルトゥレ山」のことで、現在は死火山となっていますが約80万年前に噴火し、その際堆積した大量の溶岩がこの地の土壌の礎となりました。

古代ギリシャから伝えられたイタリア最古の品種といわれており、最初に持ち込まれたのがアリアニコ・デル・ヴルトゥレでした。

アリアニコは発芽が早く、日照時間の長い乾燥した気候に適しています。成熟は比較的遅いため、イタリア南部では11月頃に収穫されます。十分に熟す前に収穫すると渋みが極めてキツくなるため、完熟してからの収穫が必須になっています。

■凝灰岩/土壌にミネラルの豊かな火山灰を含み、下の層に多孔性の凝灰岩があり水不足の時期でも土壌は適度な温度と湿度を保ちます。

カラブリア州

全域

■オリーブオイルの生産量2位。柑橘類栽培が盛んで、特にベルガモットで有名。

■夏は、美しい海を求めてヴァカンス客が大量に押し寄せる。

■49%を丘陵地帯が占め、山岳地帯が41%、平野は9%しかない。海沿いは地中海性気候、山塊は大陸性気候。

チロ

■「リブランディのあるカラブリア州「チロ」は、肥沃な粘土質の土壌と昼夜の寒暖差をもたらすイオニア海(温暖な大気をもたらす)とシーラ山地(山おろしの冷気をもたらす)の間という地形に恵まれ、「エノトリア テルス」(ワインの大地)と称えられたほどブドウ栽培に最適な土地です。そのような歴史ある地カラブリア州、イオニア海に面した小さな街チロ マリーナにリブランディ社はあります」

シチリア州

全域

■地中海最大の島。地中海のちょうど真ん中に位置する。

■四国の約1.5倍。九州の2/3の大きさ。

■地中海を支配しようとした様々な国に占拠されてきた歴史がある。ギリシア、ローマ、アラブ(イスラム)、ノルマン(北欧)、ドイツ、フランス、スペイン。→1861年にイタリア王国に統合

■非常に大きな島で、まったく異なる気候、テロワールが混在している。海抜レベルの畑から標高1,200mの畑(エトナ)まであり、土壌も真っ白い石灰土壌、鉄分を含んだ赤い土壌、火山性土壌など多様。収穫も7月後半から11月半ばの3ヶ月半に及ぶ。※「シチリアは島ではなく小さな大陸である」

■ワインの生産量はイタリアで1位2位を争う大産地。

■丘陵地帯が多く全体の約60%、山岳地帯が約25%、平野が15%。人口は、カターニャ平野(エトナの南)と、パレルモ盆地に集中している。

■州都はパレルモ(島の北西部)。シチリア=暑い地域のイメージだが実際は違う。島全体が山がちで平野が少ない。2割程度の平野部では、夏は平均気温でも30度近く気温が上がる(48.5度の記録をだしている)、冬が10度前後と過ごしやすい。残りの8割は高原地帯で、冬は雪が多く積もる地域も多くある。

■マフィアの起源となったのがシチリア島。現在はシチリアを拠点とする組織の他に、ナポリ、カラブリア、プーリアを拠点とする組織がある。現在はイタリア各地で暗躍しているが、日常生活では基本的に影響しない。

■地中海気候、夏は暑く、冬は温暖。島の南西部はアフリカの影響を受け非常に暑い。サハラ砂漠からの風シロッコも吹く。ティレニア海に面している北側の沿岸沿いは暑さが幾分穏やか。全体的に降雨量は非常に少なく、干ばつが深刻な問題である。

■長らくはワインの色を濃くしたりアルコール度数を高めたりするためのバルクワインの産地だった。1990年代にシチリアワインブーム(国際品種)が起こるまで。

エトナ山

■エトナ山。シチリア島の東の端にある今でも活発な活動を続ける活火山。ヨーロッパでも有数の標高をもつ活火山(3,334m)。※富士山(3,776m)。2021年だけでも12回噴火している。

■「打ち捨てられていた産地」

エトナのワイン

■「エトナ山=打ち捨てられていた産地」「標高800〜1200m」

■2000年代に入ってから空前のブームが到来。多くの生産者は北側斜面に陣取り、競ってワイン造りを行う。

■クリュの概念をもつ稀有な産地。火山の噴火によって形成された土壌、例えば溶岩の通った道などで土壌の成分が異なってくる。

■「その名の通り豊富なミネラルを含む土壌と、昼夜の寒暖差が激しい気候。そして50万年に及ぶ噴火活動の結果、そのときどきの溶岩の流れ方によって非常に多様で特殊な土壌が形成されたこの一帯は、畑(コントラーダ)による特徴の違いが顕著です」

■基本的にアルベレッロ仕立て。フィロキセラ禍を生き抜いた接ぎ木していない自根のブドウが多い。

■「シチーリア東部、標高3,300mを超えるエトナ山から生まれる地品種、ネレッロ・マスカレーゼ。初めて飲む人も、熟練のテイスターもその見た目と味わいに、ブルゴーニュのピノ・ノワールを連想せずにはいられません。遺伝的にはサンジョヴェーゼが親品種であることがわかっていますが、エトナ山の麓から生まれるこのブドウからはピノ・ノワールを彷彿とさせる繊細さ、上品さ、そしてエレガンスが感じられます。「しかし、これらの特徴を生み出すには標高約600m以上の条件が必要です」と醸造家のアンドレア・フランケッティ氏は言います」→生産者パッソピッシャーロ、フランケッティ(トリノーロの醸造家)

■「かつての小作人制度が廃れた上、その後の国際品種需要拡大に伴い、1960年代以降エトナ周辺の畑は忘れ去られることになります。しかし2000年に入り、フランケッティ氏はこの手つかずの土地に古木を「発見」します。捨てられたエトナ故の貴重な樹がそこには存在していたのです。現在では樹齢100年にもなる古木から、緻密な複雑味を生むワインが生まれます」「フランケッティ氏がエトナの地に古木を見つけワインを造り始めた当時、ネレッロ・マスカレーゼのエレガントワイン、という概念は確立されていないことはおろか、実践している人もいませんでした。フランケッティ氏は様々な手法を試し、エトナのテロワールとネレッロ・マスカレーゼの個性が最も美しく表現されるワインを模索し続けました。その結果、大樽を使い、ブルゴーニュワインのように醸造することこそが最善の手法であるという結論に至りました」

■「…フランケッティ氏はいまだに火山活動を続けるエトナ山の北斜面中腹に広がるテラス式の畑を2000年に購入します。5000年以上にさかのぼることができるブドウ栽培の歴史を持つエトナ山でのワイン造りをスタートさせます」

■「火山灰と溶岩が風化し粉末化した土壌はミネラルを豊富に含み、しっかりと根ざしたブドウ樹は、地中深くから養分を十分に取り込み、シチリアの豊かな日照とエトナ山頂3000mから吹き下ろす冷たい風により、ブドウの実はゆっくりと成長を遂げます。そこには樹齢100年を超えるという、貴重な古木のネレッロマスカレーゼ種が広がっています」

■「2015年12月にも噴火したエトナ山は数万年前から噴火の溶岩が形成した土壌となり、ミネラル分が豊富なため、出来上がるワインには複雑な香りが生まれます」

■標高の高いところは万年氷雪。古代ギリシャ・ローマ時代の貴族たちは、夏にエトナ山の氷を砕いて蜂蜜をかけて食べていた。※ジェラートの起源(一説)

ネレッロ・マスカレーゼ

火山の噴煙が西に流れるため、ブドウ畑は北東から時計周りに南部まで、標高600m〜1200mの位置にある。※ワイン向けの品種にかぎると300~500mの地域に分布

■かつては北欧などに大量に輸出されていて、主にブレンド用だったため、その品種名も知られることがなかった。

■「エトナのネレッロ マスカレーゼは火山岩土壌に植えられています。火山岩の隙間を這うように食いつき、下へ下へと根っこを伸ばして行きます。この火山岩の土地に地面に棒を突き刺して貫通した所、岩の割れ目のある所にブドウを植えます。ブドウはそこからさらに下に根を伸ばすのです。凄い生命力です」

カリカンテ

■酸度が高いがアルコール度は低く、ミネラル感が強い。香りはクローズ気味なことが多く、熟成するとペトロール香を纏う。補助品種にフルーティで芳香性の高いカタラットをブレンドすることが多い。※リースリングに似ている。適温10〜12度

サルデーニャ州

観光

■地中海で2番めに大きな島。州都は南端のカリアリ。

■古代ギリシャ人からは足跡に似た形状からサンダリオン(サンダルの語源)と呼ばれていた。

■サルデーニャ島はイタリア半島よりも古い土地。

■イタリア語ではなくサルデーニャ語が広く使われている。地図や標識などは2言語表記になっていることが多い。サルデーニャ語はイタリア語の方言ではなく、スペインの影響を受けた言語。また、北部ガッルーラやサッサリ地方ではコルシカ語、北西部のアルゲーロ周辺ではカタロニア語(スペイン北部)が使われている。

■イタリア本土はあまり治安が良いとはいえないけれど、サルデーニャ島はイタリアで最も治安が安定しているといわれる。

■観光業が中心。夏のバカンスシーズンに世界中のセレブが集まってくる。澄んだ水、真っ白な砂浜、エメラルドグリーンに映る海。

■ハリウッド俳優なんかがくる北東部の「エメラルド海岸」は、1960年代にアラブの大富豪が、世界のお金持ちを対象に、人工的に造った究極のリゾート地。

■観光客が砂浜の白い砂をお土産に持ち帰ってしまう。2018年、観光保護のために法律で罰金が課せられるようになった。

■丘陵地帯が68%、山岳地帯が14%、平野部が18%程度しかない。

■南部のスルチス地方が形成されたのが古生代初期(5億年前)、サルデーニャ島自体が海上に現れたのが石炭紀(3億年前)と、イタリア半島(1千万年前)より古い島である。

■海岸線は約1,900kmに及ぶが、76%は岩礁であり、砂浜は少ない。島全体は風が非常に強い。

文献

■「サルデーニャのワイン産地としての歴史は、今から5000年程前にも及びますが、注目されるようになったのは、意外にもここ20年程のこと」「昔から生産量は多いものの、大手ワイナリーが安価なデイリーワインとして売り出すか、その他の州の生産者にブドウを売却してしまうのが常識で、優良な生産者がなかなか育たないのが実状でした」

■「サルデーニャ島は、冬の寒さは穏やかですが、夏はアフリカから南欧に吹くシロッコ風の影響で、焼けるような暑さの乾燥した気候となります。その一日の平均日照時間は約7時間。このような気候で育ったブドウは非常に完熟度が高く、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロもこの地で育てればフランス・ボルドーよりも早く、完全にブドウが成熟するといいます」

ヴェルメンティーノ

■暑さに耐性がある品種。トスカーナ州のものはスタイリッシュでモダン、リグーリア州のものはボリューム感と豊かな果実味が特徴、サルデーニャのものはアロマとミネラル(塩味)押しの白になる。

スルチス

■「…畑があるのはスルチスと呼ばれるサルデーニャの南西部。ここは地中海性の暖かく乾燥した気候のエリアに当たりますが、海からの冷たい風が常に吹き、涼しさが保たれるという独特のテロワール」

■「常に吹く海風は畑を駆け抜け、昼の暑さを和らげ、ブドウを疫病から守る。逆に夜間はぐっと冷え湿度が畑に滞留、それを土壌が吸収するので夏の干魃にも耐え、瑞々しい果実を得ることができる」「多方面から吹き抜ける風<ミストラル>と昼夜の寒暖差の影響で、温暖な地でありながらブドウが健全に育ち病気になりにくい恵まれた環境となっています」

カリニャーノ

■「カリニャーノは、別名カリニャンといいスペイン(カリニェナ)や南仏(カリニャン)でよく栽培され、一般的にはタンニンが強烈で荒々しく、他のブドウとのブレンド用に使用されることが多い品種」「サルデーニャでは濃厚なフルボディとなるがタンニンは滑らかで親しみやすい」

カンノナウ

■「ナショナルジオグラフィック誌で「ブルーゾーン」と呼ばれる、健康で長命の人が多い世界3大地として、日本の沖縄、コスタリカのニコヤ島と並びサルデーニャが挙げれられていますが、サルデーニャの島民にはオリーブオイル、野菜の摂取と共に一日に適度な量のワインを飲む事が共通していると報告されています。島民に良く飲まれる土着品種カンノナウ(グルナッシュ)種には、数多あるブドウの中でも特にポリフェノール含量も高く、サルデーニャでは「一日グラス一杯のカンノナウが長寿の秘訣」と言われているそうです」

■イベリア半島からもたらされた品種。スペインのガルナッチャ、フランスのグルナッシュと同じ品種だが趣が異なる。スペインやフランスでは濃く醸造されフルボディになるが、サルデーニャでは酸が強く後味にスパイスが残る。

カリアリ-セルディアーナ地区

■「セネス…畑はカリアリの北30キロにあるシウルグス ドニガーラ、シジニ、トレクセンタ周辺の丘の上に位置する石灰質泥炭土壌です。多方面から吹き抜ける風「ミストラル」と昼夜の寒暖差の影響で、温暖な地でありながらブドウが健全に育ち病気になりにくい恵まれた環境となっています」

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ

■「ステンレス・セメントタンクで約6ヶ月、オーク材・クリの木で作った木樽で10年熟成(2〜3年おきに大樽から小さい樽に移し替えます。その際、樽を満杯にせずに4分の1ほど空けておきます、Vernacciaに存在する酵母フロールが液面に膜をつくり、余分な細菌や酸化から守っています)」

おしまい

ABOUT ME
umi aoyama
italian restaurant owner/chef sommelier/㈱PIENI代表